: ページ4
.
一通り観察した後、目線がこちらに降りてきた。
「あ、おかえり」
私を見て微笑む姿は、とても品がある。
だけど行動には全く品がないと思います。
「こんなところで何を」
「何を…？待ってたよ」
「……私の家調べたんですか？」
「まあ、ちょこっとね」
ふっ、と笑って車に寄りかかった。端正な顔立ちをしてて佇まいも美しくて気品漂う素敵な男性なのに、思考がとことん残念。
「Aさんが今頃困ってるんじゃないかと思って」
「そうですね、すごく困ってます」
「ふふ、やっぱり」
「家まで調べて待ち伏せされるなんて。すっごく迷惑です。困ります」
まだお店に来るだけなら許されても、自宅前で待ち伏せは犯罪スレスレだから。それに、私にとっては唯一無二の城だけど、金持ちにとってはこんなアパート人が住むところなんて思わないでしょ。
恥ずかしくて、腹が立つ。
ギョロっとした丸い目が私をじっと見る。何を考えてるか分からなくて、怖い。金持ちに楯突いたことをじわじわ後悔した。
「ごめんね。許して欲しい」
思っても見なかった台詞が、ギョンスさんの口から紡がれた。なんだか拍子抜けしてしまう。いつもあんなに我を通すのに、素直に謝れるんだってびっくりした。まぁ、許す許さないの話ではないんだけど。
「……私の個人情報は、悪用しないでください」
「悪用なんて下品なこと、僕はしない」
リュックのサイドポケットから鍵を取り出し、錆びた階段を昇る。何をしに来たか知らないけどギョンスさんに付き合う暇は、ない。
「ここの間取りは？」
カンカン、という私の足音に重なって、たまにずれて聞こえるのはギョンスさんの足音。振り返ると同じように階段を上ってきていた。
「1Kですけど…ちょっと…なんですか、これ以上来ないでください」
「Aさんがここでどうやって生活してるか気になる」
「普通です、普通に生活してますから」
ギョンスさんは私の声が聞こえてないらしい。１段１段お構い無く上ってくるから私も１段１段上って、ついに部屋の前まできてしまった。
「お願いします…本当に、ここまでで」
「僕ならAさんの手助けできるけど」
「…なんの話ですか？」
「お金のことで困ってるんじゃない？」
ポケットに手を入れて微笑み、首をこてんと少しだけ倒したギョンスさん。ひとつの芸術写真みたいなその光景と、私の頭の中を覗いたようなその言葉に息を飲んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 933人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「EXO」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こむ(プロフ) - ひなさん» ツイッターですが、してないんです〜！なんだか手に余してしまいそうで……でもそう言っていただけるのならいつか作ってみたいなぁ〜と思いました(*^O^*)その際は是非フォローお願いしますね！！笑 (2018年6月10日 14時) (
レス) id: 8ae68e1cd2 (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - ひなさん» ひなさま(´；ω；`)めっちゃ嬉しいです〜(´；ω；`)そんな風に言っていただけるとは…ベッキョンお待たせしました！ご期待に添えることはできましたでしょうか(*^^*)？こちらこそ、いつも読んでくださるひなさまが大好きですよぉ〜！本当にありがとうございます！！ (2018年6月10日 14時) (レス) id: 8ae68e1cd2 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - ウラツク離れしている作者さんがいる中で、更新してくださるこむさんが大好きです、、！いつもステキなお話ありがとうございます（ ; ; ）質問なのですが、こむさんはツイッターをしていらっしゃったりしますか？お話のアカウントがあればフォローさせて頂きたいです！ (2018年6月6日 18時) (レス) id: c290ea6bde (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - こむさんのお話大好きすぎます（ ; ; ）終わってしまったのが悲しいです、、、（ ; ; ）いつもベッキョンのターンを今か今かと待っていたので、最後にきて本当に嬉しかったです、、！ (2018年6月6日 18時) (レス) id: c290ea6bde (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - さあやさん» コメントありがとうございます！(*ToT)嬉しいです〜！セフンのお話の続き、思ってたのと違うし長い！ってなりそうなんですけどそれでも良いですか…？(´；ω；`) (2018年6月6日 18時) (レス) id: 8ae68e1cd2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こむ
| 作成日時：2018年5月4日 20時
