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第11話
普通のデートがしたい。
そう言われたのはついさっきのこと。だけど会うどころか連絡すら取ってなかったのに、急に電話がきたと思えばそんなこと。私が派手に玉砕してからもうどのくらい経っただろうか。あの日を思い出すことはあるけど、あの日の感情まではもうはっきりとは思い出せない。というか忘れたことにしてる。
あのあと3年分くらいの涙を流しながらとぼとぼ家に帰った。走って逃げ帰った感じだったけど、レイ君は追いかけることも連絡を寄越すこともなかった。それで色々理解した。でも未練がないわけじゃない。押し入れに恋心をそっと仕舞って、しっかりほこり被ってる感じ。
何も言えない私を無視して場所や時間は全く決めずに本日最後の授業を終えたら連絡してっていうものだった。そして私の返事を聞かずしてぶつりと電話は切れた。
「どうした?」
「あ、ごめん」
「…何かあった?」
「うん、あった。ありまくり」
「ありまくり?」
一緒に教室を出たはずなのに、隣に私が居ないことに気づいて戻ってきたビニ。
「デートしようって」
「…え?誰が?」
「レイ君が」
「レイ?なんで今?」
「知らないよぅ。私が聞きたい!」
「どうするの?行くの?」
ジタバタする私を冷静な目で見ては大きくため息をつく。あなたはいいよ、色んな出会いをして色んな恋をして経験豊富で基本的に愛される女の子だし不自由ないよ。でも私はそうじゃない。まだ人生長いけど、それでも人生最大の恋をしたって思ってる。そしてフラれた相手にデートに誘われるなんて、そんなパターン知らないしどういう顔していけばいいのか全然分かんない!
「私は行った方がいいと思う」
「…でも…あれから会ってないんだよ」
「誘ってきたんでしょ?だったら行ってくるべき」
「えぇ?うん…うーん」
「悩みすぎ!まさか会ったらまた好きってなっちゃうからとか言う?」
「……そうなったら私」
「なに?てか、またどころかずっと好きじゃん。だから関係ない」
さもそれが当たり前のように、例えるなら朝起きたら顔洗うでしょ的な感じで言われてギクッとした。そうかもしれない。一歩引いて見ると、私はほこりが被った恋心をしまったけれど、その押し入れを毎日毎時毎秒開けてはじっとそれを見ていた。開けたいなぁってずっと思ってた。忘れた"つもり"は、結局全然忘れてないから。
「…もしもし?何時に待ち合わせ?」
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こむ(プロフ) - ひなさん» 遅くなってスミマセン!コメントありがとうございますー!わーん( ;∀;)嬉しさ爆発です!!続編できるの、時間がかかるかもしれないですが…(*´ω`*)やる気出ました!ありがとうございます! (2018年1月21日 14時) (レス) id: 8ae68e1cd2 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 執事セフンたまんないです!きゅんきゅんがとまりません( ;__;)また続編よみたいです、、! (2018年1月14日 2時) (レス) id: c290ea6bde (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - ジュンミさん» はじめまして!めっちゃ嬉しいお言葉ありがとうございます!!そんな風に思っていただけるなんて感無量です!いつかお答えできるように進展させようと思います、脳内で! (2017年12月17日 23時) (レス) id: 8ae68e1cd2 (このIDを非表示/違反報告)
ジュンミ(プロフ) - はじめまして!すごく好きなお話です!!セフン との話長編で読みたいです!!!!! (2017年12月11日 0時) (レス) id: 02379d08bf (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - シオンさん» ありがとうございます!そのお言葉をいただけることがもうスーパー嬉しいです!! (2017年12月10日 1時) (レス) id: 8ae68e1cd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こむ | 作成日時:2017年11月21日 0時