膨らめバルーン ページ25
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「へぇ…」
チャニョル先生の丸い目が、上から下、そして下から上に戻って来た。そして片方の口角を上げて椅子を引き、どさっと大きい体を下ろした。
「いらっしゃいませ。何にしますか」
サロンからメモを取り出しボールペンをノックする。
真っ赤になった顔を伏せてできるだけ先生を見ないようにしていたけど、ちらりと上目で伺うと微笑んでいる先生と目が合ってしまって、咄嗟に顔をメモで隠した。それだけではこの何とも言えない恥ずかしさを完全には隠しきれず、最終的にくるっと背を向ける。
「それどこでやったの？」
「……いつも行ってるとこ」
「へぇ。かわいい。似合ってるよ」
「お父さん！いつも通り日替わりで！」
高校を無事卒業して春から大学生になった。大学は家から通える範囲だから実家暮らしは継続。生活が大きく変わることは無いかったけど、あまり守ってなかった校則から解き放たれて一番に、染めた事のなかった髪を明るくお洒落にしてみた。自分でもすっごく可愛いって思うし気に入ってるし、いつか来るであろうチャニョル先生に見せたいなーって毎日思ってた。
で、ついにその日がやって来たというのに、何この恥ずかしさ。先生と会うのが卒業式以来で久しぶりだからというのもあるかもしれないけど、その恥ずかしさとはちょっと違う。
厨房に逃げ込んで、洗い場にいたお母さんの横でしゃがみ、お母さんの足にくっついて顔を隠した。大学生になったのに恥ずかしがり屋の小さな子供みたいなことしてる。
「何してるのA」
「……」
「見て欲しいなーって毎日言ってたじゃないの」
「あ、それっ！言わないでよ！」
「毎日トリートメントして一生懸命綺麗に維持してたのに」
「もぉー！言わないでって！」
すぐ言う！全部言う！お母さんもお父さんもどうかしてる！そこは絶対に知られたくない影の努力じゃん！涼しい顔してる下では必死にペダル漕いでるの全部バラすな！女心も子供の心も何にもわかってない！
「ほらA、男前に日替わり持ってけ」
「無理ぃ……」
「前は嬉しがって持っていってたじゃないの」
「分かりましたよ！持っていきますよ！」
ジャンプする勢いで立ち上がり、カウンターに出された日替わり定食をチャニョル先生の席まで運ぶ。カウンターからテーブル席へ運ぶまでの間、チャニョル先生はずっと私を見ていた。その視線を感じながら、先生の前にトレイを置いて、伝票をトレイの下にさり気なく差し込む。
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こむ(プロフ) - 花さん» ありがとうございます！パスワードがかかった作品は公開終了となっており、お教えしておりません。すみません！ (2021年10月5日 20時) (
レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - そらぬこさん» 攻防のときから！長らくお付き合いくださりありがとうございます！このあとの話も更新しましたので、まだお付き合いいただけるようであれば、ぜひ読んでくださると嬉しいです！ありがとうございますー！ (2021年10月5日 20時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - omatsuさん» 遅くなってしまい申し訳ありません…。最高のひとことをありがとうございます！ (2021年10月5日 20時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - よーこさん» よーこさんありがとうございます！めちゃくちゃ遅くなってしまいすみません。あたたかいコメントに胸が熱くなりました；； (2021年10月5日 20時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - ギョンちゃんさん» 大変遅くなってしまいましたが、こちらこそ読んでくださってありがとうございますー！ (2021年10月5日 20時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむ
| 作成日時：2019年10月16日 19時
