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先生は肩を壁につけるように寄りかかって腕を組んだ。長い足もクロスさせて立ってる。モデルみたい……じゃなくて。
キムジョンインのことを思い出すと少しだけ胸が詰まる。
勉強するキムジョンインをじっと見てたら、急にルーズリーフの隅っこにシャーペンで何かを書き始めて覗き込んだら、私にちゃんと見えるように逆向きで『見るな』って書いてた。
なんか分かんないけど、ちょっとだけ良かった。
「……おい」
先生が私の頬を指で優しくつついてきた。
「あいつのこと考えてそんな顔すんの？」
細くて長い眉毛がぐっと寄って皺が出来てる。
そんな顔、がどんな顔なのか鏡を見ないとわからないけど、ちょっとだけ後ろめたい気持ちになった。
「違う……」
「なにが？」
「キムジョンインのお姉さんのカフェに行ってキャラメルラテ飲んだだけですぐ帰った。あの人勉強してたしあんまり話してない」
「でも二人だろ？」
「うん」
「お前……、それで俺だけにバカってよく言えるな」
「……」
「言えるなら言いたいわー、俺も」
キャップの鍔を持って脱ぎ、ラフな前髪をかきあげてもう一度かぶり直した。
「Aのバカ」
片方の口角だけ上げて、もう一度『ばーか』と言ってきた。
「……しっかり言ってる……」
「あれ、言っちゃってた？」
わざとらしく口を手で隠す。
こういう仕草は物理の鬼教師では考えられない。素のパクチャニョルって感じがして好きだけど、ちょっと鼻についてイラつく。でもふふって笑っちゃえば、先生も満足そうに歯を見せて笑った。
「あースッキリした」
「え……」
「シュークリーム好き？」
「あ、うん、好き」
「じゃ、あったかい部屋戻って食べて。寒いのに呼び出してごめんな」
「二個あるから一緒に食べようよ〜」
「ううん、それ全部Aのだよ」
「……もう帰るの？」
シュークリームを一緒に食べるくらいの時間もない？
「未成年とこんな遅くに外で」
「もう出てきたら一緒じゃん」
「……まあ、確かに？ミスったな……」
「わかった、もう戻るよ。先生が捕まらないように」
「おー、そうしてもらえると助かる」
家の玄関に続く階段を一段登って振り返った。先生はこっちに入ってこないけど、あの場からずっと見送ってくれてる。
私がチャニョル先生にバカって言った理由はもうひとつあるよ。
あの時何をしようとしてくれてた？
私にくれたお願い事権を奪い返してまで、何を？
なんでしてくれなかったの？
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こむ(プロフ) - 花さん» ありがとうございます！パスワードがかかった作品は公開終了となっており、お教えしておりません。すみません！ (2021年10月5日 20時) (
レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - そらぬこさん» 攻防のときから！長らくお付き合いくださりありがとうございます！このあとの話も更新しましたので、まだお付き合いいただけるようであれば、ぜひ読んでくださると嬉しいです！ありがとうございますー！ (2021年10月5日 20時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - omatsuさん» 遅くなってしまい申し訳ありません…。最高のひとことをありがとうございます！ (2021年10月5日 20時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - よーこさん» よーこさんありがとうございます！めちゃくちゃ遅くなってしまいすみません。あたたかいコメントに胸が熱くなりました；； (2021年10月5日 20時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - ギョンちゃんさん» 大変遅くなってしまいましたが、こちらこそ読んでくださってありがとうございますー！ (2021年10月5日 20時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむ
| 作成日時：2019年10月16日 19時
