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大きな玄関先には使用人がずらりと並んでおり、私達に頭を下げて『おかえりなさいませ』と声を揃えた。そして皆、私の後ろに立つセフンを見て笑顔になった。その中にはお腹を擦っているお義姉さんもいて、セフンを振り返れば彼もまた穏やかに微笑み『おめでとうございます』と声をかけていた。
「セフン、何か飲む？」
「いえ。先程いただきましたしあまり時間がないので」
「そっか。だって、ジョンイン」
「かしこまりました。お嬢様はいかがなさいますか？」
「私も大丈夫」
「かしこまりました。何かございましたらすぐに」
「はーい。ありがとう」
「それでは失礼致します」
漸く自室の扉が静かに閉まっていく。扉が完全に閉まればもうここは二人きりの空間で、邪魔も入らない。扉が閉まったら鍵をかけ、すぐにセフンに思いっきり抱き着くつもり。
でもそれは叶わず、完全に閉まりきるよりも先に、後ろからセフンに強く抱きすくめられた。そしてパタン、と扉が閉まる。
セフンの骨張った手が鍵に伸びて行くのが見え、ゆっくり丁寧に閉められた。
「あ、あの、セフ……」
「やめない」
ぎゅっと力を込めてきた。
やめてってことじゃない。
「違うよ、向き合いたいの」
そう言っても何故か渋々といった感じで腕の力を緩めていき、やんわり回された腕の中でくるりと向きを変え、セフンの体に腕を回す。
堪能しようとしていたら、すぐに脇の下に大きな手が差し込まれ、ふわっと持ち上げられた。所謂抱っこをされて戸惑う。
「えっ！？ちょっと、重いから下ろして！」
「いや」
セフンはその細い体のどこに秘めているのか不思議なほど力持ちだ。嫌がる私を腕に抱え、今まで見たこともないような、いや、見たとしてもずっと昔に見たような至極甘ったるい表情で見上げてきた。その表情に抵抗を止めざるを得ず、セフンの首にぎゅっと抱き着く。
セフンも私の首筋に顔を埋めた。
「五年以上経ったのに……小さいままじゃないですか…」
低い声が掠れるほど小さく呟かれ、胸がぎゅうっと締め付けられた。
「……セフンも相変わらず背が高いね」
おんぶに抱っこ。
意味は違うけど、どちらもセフンにはしてもらった。
────いや、意味は違わないか。私はずっとおんぶに抱っこだった。一人じゃ何にも出来なくて人に頼ってばっかりで、そのくせ一丁前に反抗して一人で何でも出来ると大口叩いて結局迷惑を掛けてきた。
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こむ(プロフ) - 〇〇さん» まさかコメントを頂けるとは思っておらず、大変遅くなってしまいましたがこちらこそ本当にありがとうございます。こうやって感想頂けることで忘れかけていた執筆時の思い出が蘇ってより一層自分にとって大切な作品になりました。本当に嬉しいです！ありがとうございます (3月8日 19時) (
レス) id: 65eaa14bbb (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - 作者の方に心の底から感謝を伝えたいです。長編になると話の筋がよれてしまったり途中で終わってしまったりしますが、無駄な話も無くしっかり伏線回収して感情移入しやすい描写を多く入れてくれて、、、プロの小説家さんだ、号泣しました。本当にありがとうございました (10月30日 0時) (レス) @page47 id: dc7d3a4bc1 (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - るるさん» コメントありがとうございますー！お返事遅くなってしまい申し訳ありませんTT一気読みお疲れ様でした！そしてめちゃくちゃ嬉しいお言葉を本当にありがとうございます。大変恐縮です；；私もこれを漫画で見たい気持ちでいっぱいです(≧∇≦)いつか縁がありますように…笑 (2020年3月30日 15時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - EXO_Unicorn1228さん» はじめまして！コメント頂いていたのにお返事遅くなってしまってすみません；；泣いてもらえるとは…！笑 11章という長さになってしまうほど描写に拘ってきて良かったなぁと思いました；；最後までお読み下さり本当にありがとうございました(*^^*)！ (2020年3月30日 15時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - 淡藤さん» 淡藤さま！お返事がとんでもなく遅くなってすみません；；何度も読み返してくださり本当にありがとうございます！ツンで甘いせふん、私の中でもかなりお気に入りのキャラですのでそう言っていただけて超嬉しいです(*^^*)またお見せできたらいいなぁ… (2020年3月30日 15時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむ
| 作成日時：2019年10月9日 22時
