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新事実そっちのけで泣きながら笑ってしまった。
そうだ、この人も案外涙もろいのだった。
「なんでジョンインが泣くの！？」
「お嬢様……」
「ん…？」
「どうかお幸せに」
「ちょっとぉ…泣かせないでって！」
ジョンインの腕を掴んで揺らすと『すみません』と声を震わせていてさらに笑った。吃驚泣きに嬉し泣きにもらい泣き。どっちも泣いてちゃ収拾がつかない。ハンカチをひっくり返してジョンインに差し出すと遠慮もせず受け取って涙を拭き、恥ずかしそうに笑って私から顔を背けた。
「……失礼いたしました。それではお車へ」
「ふふ、うん」
すぐそこの車へと向かうと運転手さんは急いで運転席に戻り、セフンはじっと私達を見てきた。そしてジョンインが後部座席のドアを開けようとすると同時に、セフンもドアに手を掛ける。
「お前はもうしなくていいんだよ」
そうジョンインが笑えばセフンは静かに手を下ろした。
「ではお嬢様」
「あ、うん」
現執事によってドアが開かれ車へ乗り込もうとした、のを止めた。
「お嬢様いかがしました？」
「セフンも乗って」
「え？」
「あとでちゃんと送るから」
呆然とするセフンの腕を引いて車の中へ無理矢理連れ込む。二人で後部座席に座ると、ジョンインは笑顔でドアを閉めて助手席に乗ってきた。
「あの」
「最終便まで少し時間あるよね？」
「……」
「運転手さん、車出してください」
「どちらへ向かいますか？」
「自宅で大丈夫です」
するとセフンは『ちょっと待ってください』と焦り始めた。でも走り始めた車は急に止まれない。
「もしかして今から用事があった？」
「……いや、そういうわけじゃ」
「だったらいいじゃん」
「えー…」
「ねぇ、ジョンイン！」
「はい。今お屋敷は留守でございます」
「ということでございます！」
得意気に笑って見せれば、険しい顔をしていたセフンが堪えきれずに吹き出した。ふにゃんとした顔で、肩を揺らしながら『そうでございますか』と笑っている。
その可愛い笑顔が大好き。
いつもは届かない頭のてっぺんも座っていれば届く。手を伸ばして可愛がるように撫でてみたら、一瞬で笑みを消し、凛々しい眉を寄せて見下ろしてきた。
セフンが運転席と後部座席を仕切るカーテンを勢い良く閉めた。
助手席のジョンインが『あっ』と声をあげる。
運転席からは『あはは』と優しい笑い声がする。
顔を両手で包まれ口を塞がれた私は、何も声を出せなかった。
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こむ(プロフ) - 〇〇さん» まさかコメントを頂けるとは思っておらず、大変遅くなってしまいましたがこちらこそ本当にありがとうございます。こうやって感想頂けることで忘れかけていた執筆時の思い出が蘇ってより一層自分にとって大切な作品になりました。本当に嬉しいです！ありがとうございます (3月8日 19時) (
レス) id: 65eaa14bbb (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - 作者の方に心の底から感謝を伝えたいです。長編になると話の筋がよれてしまったり途中で終わってしまったりしますが、無駄な話も無くしっかり伏線回収して感情移入しやすい描写を多く入れてくれて、、、プロの小説家さんだ、号泣しました。本当にありがとうございました (10月30日 0時) (レス) @page47 id: dc7d3a4bc1 (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - るるさん» コメントありがとうございますー！お返事遅くなってしまい申し訳ありませんTT一気読みお疲れ様でした！そしてめちゃくちゃ嬉しいお言葉を本当にありがとうございます。大変恐縮です；；私もこれを漫画で見たい気持ちでいっぱいです(≧∇≦)いつか縁がありますように…笑 (2020年3月30日 15時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - EXO_Unicorn1228さん» はじめまして！コメント頂いていたのにお返事遅くなってしまってすみません；；泣いてもらえるとは…！笑 11章という長さになってしまうほど描写に拘ってきて良かったなぁと思いました；；最後までお読み下さり本当にありがとうございました(*^^*)！ (2020年3月30日 15時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - 淡藤さん» 淡藤さま！お返事がとんでもなく遅くなってすみません；；何度も読み返してくださり本当にありがとうございます！ツンで甘いせふん、私の中でもかなりお気に入りのキャラですのでそう言っていただけて超嬉しいです(*^^*)またお見せできたらいいなぁ… (2020年3月30日 15時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむ
| 作成日時：2019年10月9日 22時
