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しゅん、と寂しくなる私を余所に、セフンは物分かりよく支度を始めた。もう終わっちゃう。セフンも帰っちゃうんだ。最終便って言ったって夕方だから、あんまり長居出来ないってことは分かってるけど、心と体が言うことを聞かなくて椅子から立ち上がれない。
「……お支度を」
執事の頃のように、セフンが私に促してきた。
もう終わりだなんて嫌すぎる。でも今の私達には”次”があるんだから。そうやって自分に言い聞かせて俯き気味に席を立つとセフンが私のバッグを持ってくれた。そして差し出してくる。
「使ってくれてるんですね」
セフンがくれたバッグはちょっと汚れたりしたらすぐにお直しに持っていってずっと綺麗に使い続けている。セフンも自分が私に買ってくれたことちゃんと覚えてるんだ。
俯きつつも、こくんと頷いてからバッグを受け取る。
その時にほんの少しだけ指が触れた。あ、とセフンを見上げたら、セフンの甘い眼差しが自分に向いていることに気付いた。
「お嬢様」
どくどくと脈打つ心臓を気にしないようにして、セフンの瞳を見つめ返す。
「最後の夜、俺に言ってくれたこと覚えてますか？」
最後の夜は───あれ、何を言ったっけ。
すぐに思い出せなくて首を横に振った。
「なんだ。がっかり」
「えっ、ごめん……」
「いいですよ別に」
「……拗ね」
「拗ねてない」
ムキになった顔。それに耐えられずふふっと吹き出せば、セフンもふにゃりと顔を緩める。大好きなかわいい笑顔だった。
「あーあ。まったく」
「わー！本当にごめん！」
「いいって。じゃあ質問を変えます」
「う、うん」
もう、鼓動の激しさはどくどくどころじゃない。
ちょっとの衝撃で胸を突き破ってきそう。
その一方でセフンは、ふにゃりとした顔にちょっとだけ不安を滲ませた。
「まだ俺を好きでいてくれてますか？」
あ、わたし、あの日の夜、セフンに好きって言った。
ベッドに運んでくれたセフンに抱き着いて胸に擦り寄って、そしたら頭をゆっくり撫でてくれたからたまらなくなって、
「うん、今もずっと大好きだよ」
『大好きだよ、セフン』って言った。
しっかり思い出した。
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こむ(プロフ) - 〇〇さん» まさかコメントを頂けるとは思っておらず、大変遅くなってしまいましたがこちらこそ本当にありがとうございます。こうやって感想頂けることで忘れかけていた執筆時の思い出が蘇ってより一層自分にとって大切な作品になりました。本当に嬉しいです！ありがとうございます (3月8日 19時) (
レス) id: 65eaa14bbb (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - 作者の方に心の底から感謝を伝えたいです。長編になると話の筋がよれてしまったり途中で終わってしまったりしますが、無駄な話も無くしっかり伏線回収して感情移入しやすい描写を多く入れてくれて、、、プロの小説家さんだ、号泣しました。本当にありがとうございました (10月30日 0時) (レス) @page47 id: dc7d3a4bc1 (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - るるさん» コメントありがとうございますー！お返事遅くなってしまい申し訳ありませんTT一気読みお疲れ様でした！そしてめちゃくちゃ嬉しいお言葉を本当にありがとうございます。大変恐縮です；；私もこれを漫画で見たい気持ちでいっぱいです(≧∇≦)いつか縁がありますように…笑 (2020年3月30日 15時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - EXO_Unicorn1228さん» はじめまして！コメント頂いていたのにお返事遅くなってしまってすみません；；泣いてもらえるとは…！笑 11章という長さになってしまうほど描写に拘ってきて良かったなぁと思いました；；最後までお読み下さり本当にありがとうございました(*^^*)！ (2020年3月30日 15時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - 淡藤さん» 淡藤さま！お返事がとんでもなく遅くなってすみません；；何度も読み返してくださり本当にありがとうございます！ツンで甘いせふん、私の中でもかなりお気に入りのキャラですのでそう言っていただけて超嬉しいです(*^^*)またお見せできたらいいなぁ… (2020年3月30日 15時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむ
| 作成日時：2019年10月9日 22時
