【銀魂】空から女の子が降ってきました。21

第八百十三訓 ページ7

拳をぎゅうううっ、と握りしめた。涙は枯れたはずなのにまた目が潤んでくる。


悲しさと、悔しさと、憎しみで。


指に滴り落ちる液体は、血とでも言うのだろうか。トシが去ってしまってこの静まり返ったこの状況下、血の温かさだけが私を冷静にさせる。






そうだ、そうだ。冷静さを欠くな。いつだって真選組にとって一番良いとなるであろう選択をしてきた。だから、






『……私は、トシに賛同する』






考えろ、この頭で。真選組にとって一番良い結末を。






「なっ、ほ、本気ですかAさん！！」


「アンタだって誰よりも近藤さんを慕ってたはず、」


「確かに副長の言う事は心にくるものがありますが、」






悔しい、悔しい悔しい悔しい。何も出来ない自分が。全員まるごと救いとって笑顔にしてやれない自分が。大切な人一人、救えない自分が。嫌いだ。






「＿＿＿＿＿＿悔しく、ないんですか！！」







＿＿＿＿＿、









『＿＿悔しいに決まってんだろうが！！！！』









感情が溢れて思わず、叫んだ。怒鳴り散らしそうになった。が、叫んだ瞬間辺りは静まり返ってしまってそれに冷静になる。

ここで叫んでも、何も変わらない。あまり叫ぶな、想いを伝えるだけでいい。ただ自分が疲れるだけだ。






『っ……私は、真選組が大好きだし愛してるし、ここしか居場所がないと思ってる…身を置くなら、君達の元じゃないと嫌なんだ』






泣くな、泣くな。頼りないだろうが。






『他の誰でもない、何よりもっ！！私が一番、真選組の美しさを知っている…！なぜなら私は後からここに来たから！君達の背中を追ってきたから！！』






そうだ、江戸に来てから初めて真選組に入って、彼らの黒い背中を追ってきた。彼らの剣を見つめてきた。隣に並べる日を夢見て。


けど彼等も歩みを止めないから直ぐに距離は縮まらないし、でもそのもどかしさですら愛おしかった。






『私はお前達が大好きだ！！近藤さんだってトシだって全員護りたいしっ、悔しくない訳ないだろうが！』






家族という愛を教えてくれた。

江戸での生き方を教えてくれた。

自 殺癖の無くなった"私"という人間を、私自身に教えてくれた。






『だからこそ死なせたくないんだろ…近藤さんも、皆も、全員。どんなに考えても分かんないよ、どっちも捨てられないんだから』






嗚呼、考えても考えても分からない。肝心な時になんと使えない頭だろうか。










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