【銀魂】空から女の子が降ってきました。21

第八百二十一訓 ページ15

かつ、かつ、かつ、と靴音が響く。


その靴は憎たらしいほどピカピカに磨かれており汚れ一つ無い白。上着もズボンも全部憎たらしい程に綺麗な白。






「貴方は…いえ、貴方たちはよくやっています。愚かな上司の為に全てを失いながらも、今も微力ながら江戸に力を尽くしているのだから」






近付いてくる、声の主が。人影が。白い制服の軍隊が綺麗に開けた道の真ん中を通って。












「褒めてあげましょう」





「この警察庁長官が直々に」













『っ、』



佐々木「＿＿＿＿"負け犬"、と」






現警察庁長官……佐々木、異三郎。見廻組であるいわばボス犬、佐々木くんのご登場だった。


その姿だけで、そこにただずんでいるだけで憎たらしくて仕方がない。こちらを嘲笑っているようだ。


楽しいか？そんなに楽しいか？私が、私達が、苦しんでいる様は。水を失った魚が苦しげに地面でのたうち回る様は。大切なものを失っていく様は。






土方「っ……！」






(っああ、抑えろ、抑えろ抑えろ。トシだって我慢してる、トシは真選組で誰よりもと言っていいほど見廻組を嫌ってる、そんな人が抑えてるんだ、)






ここで憎しみのまま殴りかかって何になる？相手の思うツボだ、駄目。激情に駆られては＿＿＿＿＿＿













.

















「佐々木、今日は職務は忘れろと申した筈」















『＿＿＿＿＿＿っあ"、』








何故、何故、何故。なんでなんでなんでなんで。なんでお前がここにいる、憎くて仕方ないお前が。私から全部奪ったお前が、







「市政にもぐり、下々の者の生活を覗き見るのが前将軍茂茂公の楽しみであったのだろう？ならば私も倣おうではないか」







ああ、ああ、ああ。呼ぶな呼ぶなその薄汚い口で彼の名前を呼ぶな、辞めろ、











.












「構わず飲め」







「今宵は私も、ただの喜々だ」














＿＿＿＿＿＿一橋、喜々。








『っ、……！っ、ふー……、』








憎い、憎い憎い憎い憎い。お前が、将ちゃんを。あの優しい将軍をこの国から、この世界から奪ったのだ。死なせてはならない人間だった。


あの人は生きて、江戸の夜明けを見るべき人間だったのだ。それを奪ったんだ、お前が。









喜々「そなたら犬共の鳴き声を聞かせよ」










＿＿＿ここで殺せたら、どれ程楽だっただろうか。










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