【銀魂】空から女の子が降ってきました。21

第八百三十二訓 ページ26

あの後、逃げて、逃げて、逃げて、逃げた。



後から桂くんが捕まったという報告を受けて、ショックだったのを今でも覚えている。



銀時君が関わったことで万事屋という看板も疑われて、スナックお登勢と共に見廻組のガサが入った。





『……。』






真選組の次には万事屋まで江戸から消えて、何も出来ずに一歩も動けずにいた。


自分が無力なのは、知ってた。知っていたことだ。でもこれ程とは。警察という職を、地位を奪われたらこんなにも私達の元には何も残らないのか。


でも＿＿＿＿＿＿






『……。』



土方「……A、痛くねえか」



『……何回目ですかその質問。痛くないですよ、見た目が大仰なだけ』






今は万事屋も屯所も行けないということで妙ちゃんの家に潜り込んでいた。周りの空気は重いし、外はそんな気持ちを表すように雨が降っている。


縁側にトシと肩を並べて座っているけど、真選組をやってイタズラを仕掛けて笑いあっていた頃の様にはいかず、全然楽しくはなかった。






(……頬の傷を心配してくれてるのはうれしいけど)






でも、なんかこれじゃあお通夜みたいな雰囲気だ。






土方「あの時助けにいけなくて、すまねぇ。俺は一歩も動けなかった…万事屋に頼るしか、なかった」



『……私が来るなと目線で送ったんですからトシに責はないでしょう。それに喜々を好き勝手煽ったのは私だ』






するり、と湿布の貼られた頬をトシに優しく撫でられる。彼は今にも泣きそうな面をしてた。鬼の副長だなんて見る影もないほど。


私はそれをじっと見つめ返した。勝手に罪悪感感じられちゃ困るし。






『……なんでそんなに暗いんです？確かに気持ちはわかりますけど私の事で気に病んでる様なら即刻やめてもらいたいんですけど』



土方「だが、」



『だがも何もないです。近藤さんが私たちに残してくれたのはまだあるでしょ』






私達は地位を奪われて頭をもぎとられ、無力な烏合の衆と成り果てた。でも頭は何も残してくれなかった訳じゃない。






『警察手帳、制服、仲間。全部残していってくれたでしょ』



土方「っ、」



『まあその仲間達がどこにいるのかすらもわかんないですけどね』






すると、縁側の後ろ…部屋の中にいた神楽ちゃんが口を開いた。どうやら彼女は総悟やほかの仲間達と接触したらしい。










何でも…かつての敵、攘夷志士と手を組んだのだとか。











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