高い彼と低い私

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しばらくすると『あむちょすー』と声が聞こえて大飛くんが近づいて来た



やまと「終わった？」

あむぎり「うん、終わった」

やまと「じゃあ、交代」

あむぎり「うん、じゃあ、ありがとうございました」



そう私に言って店長たちの方に行ってしまった



やまと「お願いします」

「はい」



ケアを始めると『篠原さんって…』と大飛くんが口を開いた



「はい」

やまと「若いですよね？俺らより年下？」

「今年で23になります」

やまと「まじ？同い年じゃん」

「そうなんですね」



本当は知ってますけど…



やまと「へー、同い年か…あのさ」

「はい」

やまと「俺とどっかで会ったことあります？」

「…ないと思いますよ？こんなイケメン、会ったことあるなら覚えてるだろうし」



『ですよね』とニコッと笑う彼は、相変わらず自己肯定感がバカ高いらしい


内心バレたのかと思ってめちゃくちゃ心臓がバクバクした




やまと「篠原さん、YouTube見ます？」

「見ないですね、疎くて…」

やまと「コムドットでやってるんで、見てみて下さい」

「はい」

やまと「年内300万人目標でやってるんで、チャンネル登録もできればお願いします」

「分かりました、見てみます」



ちゃっかり宣伝された後は左手でスマホをいじり始めたから私も黙ってケアを続けた


右手が終わったから左手を…と思って顔を上げるとコク、コクと船を漕いでいる



忙しいんだろうな…

目の下に少し隈できてるし…




一段と大きく首が前に倒れてくると目を開いた大飛くんが顔を上げた



やまと「ぁ…ごめん、寝てた…」

「大丈夫ですよ、次左手しますね？」

やまと「うん」

「イス、倒しましょうか？」

やまと「んーん、大丈夫」



そう言った大飛くんだったけど左手のケアを始めるとすぐに寝息が聞こえてきた



ケアが終わっても起きる気配はなく、起こしていいものか迷っているとあつきくんが顔を出した



あむぎり「あれ、やまと寝ちゃった？」

「うん、起こそうか迷って…」

あむぎり「撮影あるしな…」



そう言うと『やまと』と肩を叩く



やまと「ん…」

あむぎり「終わったって、動画撮るんでしょ？」

やまと「んー、」



と伸びをすると『ありがとうございました』と私に笑顔を見せた

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