短編集.com3

.（やまとside） ページ9

部活に行こうと体育館へ向かっていると前から走ってきた人とぶつかった




「すみません！」

やまと「……A？」

「…」




バッと顔を上げたのはAだった

Aの髪は短く、ガタガタになっている




やまと「その髪…」

「ぁ……が…ガム、ついちゃって……それで…」




目を彷徨わせて、言葉を紡いでいる




やまと「……今日は、部活休んでいいから」

「…」

やまと「美容院とか行って、整えてもらいな？」

「…」




そう言うと頭を下げて歩き出した




やまと「待ってるからな！」




そう言っても、Aが振り返ることはなかった




いじめ…ではないよな…

もしかしたら……


数日前、優太から相談は受けていた








ゆうた「マネージャー、Aだけで良いんだけど」

やまと「なんで？」

ゆうた「なんで、って……マネージャーの仕事してんの、ほとんどAだぞ？」

やまと「え、でも…」

ゆうた「A1人に仕事押し付けてんだよ、仕事してるのは部員が見てる時だけ」

やまと「…」

ゆうた「分かるだろ？香織はゆうまのこと好きだから、しっぽちゃんって呼ばれてるAが気に食わねーんだよ」

やまと「…」

ゆうた「いつか、Aに危害が加わると思う。その前に手を打った方がいい」

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