短編集.com2 (ページ21)

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6（やまとside）ページ21

やまと「さっむ…」

すっかりイルミネーションで彩られた街を歩く

ポケットに手を突っ込んでいても指先が冷えてる

周りはカップルだらけ

そんな中1人で歩く俺、寂し過ぎんだろ…

その時聴こえた音に足を止めた

声か、音かも分からない

でも、『やまと』と呼ばれた気がした

辺りを見渡すと他の人がコソコソ話して視線をやってるからすぐに分かった

寒いのにあんな薄着して…

風邪ひくだろ…

自分のマフラーを外しながら、声の主に足を進めた

俺に背を向けて歩き出した彼女に走って追いつき、マフラーを首に巻いた

振り向いた彼女の手を掴んでタクシーに乗り込んだ

家に着いて彼女を部屋に連れ込み、暖房をつけた

『私…』と震える手で伝えようとするから、その手を握って暖めた

やまと［大丈夫、ゆっくりでいいよ］

3ヶ月間、全く手話を使ってなかったのに、全然覚えてるわ

【私、ずっと、後悔した】

やまと「…」

【やまとのこと、好きなのに、手を離したこと】

やまと「…」

【自分勝手だけど、私は、やまとのことが好き】

やまと「…」

そう手話した後俯いてしまった

やまと「…」

Aの肩をトントンと叩いた