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嵐の前の静けさ ページ18

Y side



流れるクラシックに、お洒落な装束をしている紳士やマダム。ウェイターやウェイトレスまで美しい作法でお辞儀をしているその場所にそぐわないようなちんちくりんの私たちがいていいのかと思う


「なぁーに縮こまってんだよ」

「だってぇー…なんか高そうなんだもん。私そんなお金持ってないよ」

「払わせるわけねーだろバーロー。父さんのカード持ってきたから心配すんなよ!な!」

「わぁ、道楽息子?」

「息子ほったらかして海外行ってる親も道楽だと思うけど?」

「否定できないな…ますますコナンくんみたい」


ここ数日素っ気ないあの子を思い出して思わず笑みが溢れた。


「親御さんが海外に行ってたり、ホームズやサッカーが好きだったり、アイスコーヒー飲むんだよあの子!知ってた?」

「お、おお…一応親戚だからな」

「…コナンくんがもしかしたら新一かも知れないとか馬鹿なことも考えちゃったもん」

「え、え?」

「だって、新一のケータイ鳴らしたのにコナンくんのがなったり、あの子たまに呼び捨てにしてくるんだよ?“姉ちゃん”じゃなくてAって呼び慣れてるからとか思ってたの。」

「バーロー」

「本当よね!ちょっと安心しちゃった」

「あは、あはは…」



会話が途切れて、ちょっと緊張している喉を潤すため水を飲んだ



「あ、あのさ

「失礼致します。」




新一が話し出すと同時にウェイターさんが来て、前菜を届けてくれる。頭を抱えてしまった新一を無視してお礼といただきますを言ってから、前菜に口をつけた











「サッカーは探偵に必要な運動神経をつけるためにやってただけ。もうやる必要はないから入んなかったんだよ」

「えー?そうだっけ?でも高1の時、サッカー見に行ったよ?」

「たまに助っ人で入ってたんだよ」

「そっかぁ、新一なんでもできちゃうからサッカー続けてれば今頃プロサッカー選手だったのかも」

「俺は探偵の方が好きなんでね」


食事もメインになって、いつものように新一のマシンガントークを聞いてる


「それでー?」

「…ん?」

「わざわざこんな高級なところに呼び出した理由」

「あ、ああ…それはだな…」

「それは?」

「……デザート食うか?!」

「話逸らさないでよ」


はぁああ…と、大袈裟な深呼吸を決意したように目の色を変えた新一。


「あの、な…」

「?」



真剣な顔の新一にこっちまで緊張する




「_おい、人が死んだってよ」




「…!」




…探偵の顔だ



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作者名:えむ | 作成日時:2020年5月19日 17時

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