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庭に出てからは、ようやく音を立てるのを気にせず走ることができる。
敷地の外の道で再び優太くんを見つけた。
ベランダを離れてからここに来るまでに少し時間がかかったからだろうか。顔を合わせるなり彼は私に「また窓から出てきたの？」と尋ねた。
息を整えながら頷く。
「すげぇ、脱出のプロだ」
笑いながらそう言う。
こちらとしてはなかなか、きっと彼が思う以上には神経を使うのだからそんなに笑い事ではない。
「俺、起こしたんだよね？ごめんね」
ごめんと言いながらあんまり申し訳なさそうではなかった。
けれど私だって悪いことをされた気持ちなんて欠片もない。
それはあの夜明けの別れ際に、優太くんに対して「また会いたい」と思ってしまったからかもしれない。
「あのっ、どうしたの？何かあった？」
私の問いかけに優太くんは、さっき上から見たのと同じように、首から提げたカメラを両手に持って顔の位置まで掲げた。
「写真。見たいって言ってくれてたから」
優太くんの撮る写真。
玄樹くんのおじさんのバーで見せてもらった海の写真に感動して、その他のものも見てみたいと思った。
あの日別れ際にベランダから伝えようとしたそれは、けれどきっと優太くんには届いていないと思っていた。
伝わってたんだ。
そう思って、少し驚いてしまう。
「うん、うん、見たい…！」
「あは、よかった。あれから何度か昼間に神社に行ったんだけど、見つけられなくてさ」
会いに来てくれていたのか。
この一週間、日中は秋祭りに向けて舞の練習をしていたり、夏期補習で学校へ行ったりと確かに何かと境内にいないことが多かった。
そう返そうとしたところで、この間優太くんたちに対して２０歳だと嘘をついてしまったことを思い出し、学校のことだけはそのまま言えないということに気がつく。
こちらから言葉を返す前に「店に行く？」と優太くんが聞いた。
……迷う。
正直な自分の気持ちを言えばまた行きたいし、玄樹くんにも会いたかった。
けれどあれは、あの夜だけの特別な冒険だったのだ。
あそこに行けば自然とお酒を頂くことになってしまう。
本来は許されないことを一晩限りの"特別"としたのだから、やはり、二度目はそう簡単にあってはいけないと思った。
「、あの辺りで話そう」
ここから見える東の海岸を指差す。
優太くんは特に何も聞かずに笑顔で頷いて、二人で坂道を歩き出した。
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こむぎ(プロフ) - sarusukiさん» 2はフラグが立ってるので、問題ないようであればご自身で設定をお願いします！ (2018年6月17日 18時) (
レス) id: c18b3d0fe1 (このIDを非表示/違反報告)
sarusuki(プロフ) - パート2の方が見られなくなってしまいました！！見られるようになりませんか？涙 (2018年6月17日 17時) (レス) id: bd649719ef (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - 湊さん» ありがとうございます！この話は書きたい描写が多すぎるので、できるだけくどくならないように気をつけたいと思ってました…！多分まだまだ続くのでこれからもお付き合い頂けると嬉しいです〜！ (2018年5月20日 16時) (レス) id: ae12cda8c1 (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - こむぎさんの書くお話大好きです！！諄くない、綺麗な文章を書く方だなぁ、といつも思ってます。これからも更新楽しみにしてます！ (2018年5月17日 13時) (レス) id: 5d99fecd0e (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - ゆりーるさん» わーいありがとうございます！3人のもともとの強すぎる個性を殺さないようにキャラ作れたらなぁと思ってるのでそう言って頂けてめちゃくちゃ嬉しいです〜！これからもよろしくおねがいします！ (2018年3月3日 15時) (レス) id: 599e963edf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ
| 作成日時：2018年1月3日 11時
