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「本来のつくり方よりも飲みやすくしてるから」
微笑む玄樹くんに、ふと、岸さんの言っていたことが頭を過る。
“飲みやすくて強いものを出される”
飲み慣れていない私ではこれが強いお酒かどうかなんて分からない。
けれど、もし例えそうだとしても、こんなにもきれいでこんなにもおいしいものならばもう何だっていい気がした。
この飲み物が私のことを幸せで特別な気持ちにさせてくれることは事実なのだから。
「ダイキリには、希望って意味があるの。お誕生日だから、Aの今日からが希望に溢れた年になりますようにって」
「へぇ、お酒にも意味があるんだ…」
玄樹くんがそんなことまで考えてつくってくれたことを嬉しく思った。
ありがとうとお礼を言うと、終始淡々としていた彼の方も少し嬉しそうな表情になったような気がした。
そこに込めてくれていた意味を知ると、次の一口はもっとおいしく感じられる。
「誕生日なのに、一人でお酒飲もうと思ったの？」
お酒の味にも、この場の雰囲気にもすっかり慣れてきた頃、玄樹くんが私に尋ねる。
「…うん、変かな」
「うーん、こんな怪しげな店に女の子一人で来るのは変だと思うよ」
「少し大人になったから…、少しだけ冒険してみたくなったの。私の知ってる世界って、すごく狭くて限られたものだから、そうじゃない、知らない世界を自分の力で知りたくなったっていうか、」
お酒の力なのか、思っていたことが素直に言葉になって出る。
けれど、そもそも自分でも正しく理解のできていないその気持ちを、他人に正しく伝えるのはやはり難しいことに思えた。
「欲求不満なんだ」
たった一言で、玄樹くんが返す。
「欲求不満…！？」
「嫌なことがあるわけじゃないけど、今の自分を一部だけ、ほんの少しだけ捨てて別の何かを求めたくなる、みたいな感じ。あるよね、そういうの」
そう、かな。
そうかもしれない。
欲求不満という言葉はどうかと思ったけれど、確かに玄樹くんの言うことは、今の私のこの説明の付け難い状態に近いような気もした。
このピンクダイキリを全部飲んだら、もう少し大人になったら分かるのかもしれない。
グラスの長い脚に手を伸ばそうとしたところで、店の扉が開かれた。
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こむぎ(プロフ) - sarusukiさん» 2はフラグが立ってるので、問題ないようであればご自身で設定をお願いします！ (2018年6月17日 18時) (
レス) id: c18b3d0fe1 (このIDを非表示/違反報告)
sarusuki(プロフ) - パート2の方が見られなくなってしまいました！！見られるようになりませんか？涙 (2018年6月17日 17時) (レス) id: bd649719ef (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - 湊さん» ありがとうございます！この話は書きたい描写が多すぎるので、できるだけくどくならないように気をつけたいと思ってました…！多分まだまだ続くのでこれからもお付き合い頂けると嬉しいです〜！ (2018年5月20日 16時) (レス) id: ae12cda8c1 (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - こむぎさんの書くお話大好きです！！諄くない、綺麗な文章を書く方だなぁ、といつも思ってます。これからも更新楽しみにしてます！ (2018年5月17日 13時) (レス) id: 5d99fecd0e (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - ゆりーるさん» わーいありがとうございます！3人のもともとの強すぎる個性を殺さないようにキャラ作れたらなぁと思ってるのでそう言って頂けてめちゃくちゃ嬉しいです〜！これからもよろしくおねがいします！ (2018年3月3日 15時) (レス) id: 599e963edf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ
| 作成日時：2018年1月3日 11時
