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窓辺から降り注ぐ夜の柔らかな光。
幻想の中を泳ぐような浮遊感。
優しくて心地良い旋律の中にあるこの切なさは、哀しみは、誰のものだろう。
目を覚ました時、夜ではなかった。
夕方だ。カーテンを開け放った窓の向こうに日が沈みかけている。
それにしても不思議な状況だった。
教室の真ん中に布団が敷かれている。布団は床面よりもいくらか高くなっていて、見るとその下に体育で使う体操用のマットが三枚重ねられていた。その布団の上に私は寝ていた。
わりと、間抜けな図。
ゆっくりと上体を起こすと、夢の中にまで聴こえていたメロディが止む。演奏していた彼はピアノから離れて私の元へ駆け寄る。
しゃがみこんで、私の顔をじっと見つめた。
その目を見つめ返しながら、どうしてこうなったんだっけ、と思い返して。
次第に記憶が蘇る。
そうだ。賭けだった。
迫られて、追い詰められて、それからここで意識を手放した。私、気を失ったんだ。
私が寝ていたこの布団諸々は目の前にいるこの子が用意したものだろうか。
「これ…、どうしたの、」
「マットは体育準備室から持ってきました。布団は保健室で借りてきました」
言葉では淡々とそう返しながら、けれど見つめる彼の目の中に不安のようなものが揺れていた。
第３音楽室に用意されたこのへんてこな簡易ベッドはきっと、いきなり気を失った私を心配してのことだと分かる。一応「ありがとう」とお礼を言った。
「…でも布団借りて持ってくるよりも私を保健室に連れて行った方が楽だったんじゃ」
「………あぁ。確かに」
保健室からここまで、階段を上がって布団を運んでくるのは大変だっただろう。ていうか何と言って借りてきたんだろう。体育準備室から持ってきたマットだって何往復か必要だったはずだ。道中他の生徒からおかしな目で見られなかっただろうか。
勉強はできるし頭のいい子のはずなのに、やっぱり変だ、と思う。
沈黙の中で見つめ合う。気まずさから目線を逸らして、そうして、彼と行った賭けについて考えた。
あの熱に浮かされた中で自らしてしまったことだとか、彼に向けてしまった表情だとか、冷静になって思い出す。死にたい。
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よぴ(プロフ) - パスワード教えていただきたいです（ ; ; ） (2022年1月17日 19時) (
レス) id: 5c59f9ee59 (このIDを非表示/違反報告)
いち - パスワード教えてください⁉️ (2021年9月28日 13時) (レス) id: 358f9d64ec (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - こむぎさんの作品いつも楽しく読ませていただいています。この作品を最初から読みたいのですがパスワードを教えていただくことはできますか？ (2021年5月5日 2時) (レス) id: 3b72a96203 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - どの作品も大好きです！いつもキュンキュンしながら読ませて頂いています。これからも楽しみにしています。 (2020年5月3日 21時) (レス) id: e6fd1d12b5 (このIDを非表示/違反報告)
陽依(プロフ) - 切なくて切なくて、涙が出てきました。このお話大好きです。これからも楽しみにしています。 (2020年5月3日 19時) (レス) id: 5f72745e3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ
| 作成日時：2019年7月21日 14時
