. ページ10
.
その瞬間、Aが視界から消えた。次の瞬間には俺の足元から顔を出す。一度こたつの中に潜って、潜ったところとは別のところから出てきたのだ。行儀がよくない。そのまま這い出ては、俺の足から腰にぴったりくっついて寝転がる。
「ほら寝るなら布団行けってば」
あーだのうーだの言いながら渋っている。もうその体勢ではテレビも見えちゃいないんだからさっさと寝ればいいのにと思う。
「何だよ」
「んー」
「何かあんのか」
「うーん。ゆうたくんはさぁ」
「おう」
「ミコとはねた?」
思わずむせてしまった。何て聞き方するんだ。いや、それが変なことに聞こえてしまう俺の心が汚れてるんだろうけど。でも、うん。
それにしてもこれはあれだろうか。もしかして。いわゆる。
「…やきもち?」
「ちがうー。そしたらゆうたくんのいびきがうるさかっただろうなって」
最近は可愛げのない切り返しも覚えた。いらっとしながら、ちょっとだけその成長に感心したりもする。
「ミコちゃんはすごーくしっかりしたプロの女優さんだから、Aとちがって一人で寝れるんだよ」
大人げなく対抗して意地悪を言えば、「一人でねれるしぃ」と言いながら俺の太ももに抱きついていた。
瞼の下りた顔が何だかとても気持ち良さそうで、見ている俺にも眠気が伝染する。一緒に寝転がる。だめだ。一度こたつの中で寝転がってしまうともうだめ。起きれない。Aはほとんど寝かけてるような顔をして、またもふにゃふにゃの声で「ねぇつぎはいつ行く?」と聞いてくる。笑ってしまう。楽しかったよな。うん。また近いうちに連れて行くよ。
動物の親子のようにくっついて二人で眠る。あぁ、子どもの体温ってあったかい。
.
1135人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りんこ(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています!これからも楽しみにしています。 (2019年9月30日 0時) (レス) id: 2bc4477fb2 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - 急といえば急だけど、当然といえば当然な感情な感じです。だって、岸君がずっと側で、愛情たっぷりで、まっすぐで…思春期な女子じゃなくても…なりますよね。益々目が離せません!更新楽しみにお待ちしています。 (2019年9月18日 21時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
ゆっちゃん(プロフ) - 優太くん目線で楽しませて頂いています。2人が幸せになれる事を祈っています。更新頑張ってください。 (2019年9月16日 22時) (レス) id: 8464dfffe9 (このIDを非表示/違反報告)
みづきてぃー(プロフ) - このシリーズ大好きです!!たまに出てくるじんくんも好きです(笑)もどかしくて、キュンキュンする!続きが楽しみです! (2019年8月16日 2時) (レス) id: 3752f8da94 (このIDを非表示/違反報告)
すばる - すごく好きな展開です!表現力がありお話の雰囲気に一気に引き込まれました。この先二人がどうなっていくのかとても楽しみです。 (2019年8月13日 17時) (レス) id: 62d9628bcb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:こむぎ | 作成日時:2019年7月16日 18時