思春期 篇 2−28歳と17歳− ページ39
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最後に決まった相手というものがいたのはもう学生の頃になる。社会に出てからは流れでそういう関係になることや欲に任せてそれから二度三度ということもあるにはあったけれど、そのうちの誰とも長くは続かなかったし約束を交わさなかった。
他に優先させるべき大事なものがあったからだ。
仕事のことと、Aのこと。
もう若くもないから最近ではそういう衝動的なものからも随分ご無沙汰だったんだけれど。
あぁでも、やっぱりいいなぁと思う。
無条件で癒されるこの感覚。サラサラと指通りの良い髪、滑らかな肌、重ねる唇の柔らかさ。
どれも自分にはないもので、女の人というものは触れ合うだけで気持ちが良くて安らぐ。
「……んっ、」
聞こえたくぐもった声がよく馴染みのあるもので目を開けた。
目を開けて、全てが静止する。
「……っ、!?!?」
ウソだろ。
鳩尾を打たれるような衝撃。
頭の中が真っ白になった。
目の前にいたのは、この手で10年間大切に育ててきたはずの女の子だった。
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「うそ、A俺……ごめ、」
耳まで真っ赤に染まった顔が真上にある。
俺はベッドに寝ていて、Aはその上に跨っていて。
カーテンの向こうはもう明るい。混乱しきった頭で記憶を辿る。昨晩は撮影が押して深夜3時に帰ってきて、とにかく疲れきっていて、そのまま泥のように眠って、それで。
「っごめん…!え、なんで、こんな、」
「……携帯、すごいずっと鳴ってたからなんかお仕事とかかもと思って、起こしてあげようと、したら、」
それで寝ぼけて、Aに。
最低だ。最悪だ。
Aの話す声にも動揺だけが表れている。
「本当にごめん……ちょっと、何と言っていいか、ごめん、本当にこれは…」
「……」
「マジで…、償いきれない……、」
潤んだ瞳でAが俺を見る。
寝ぼけていてはっきりとは覚えていないけれどきっと本能的に、とても無遠慮に扱ってしまった。いやもちろん優しくすればいいとかそういうことでは決してない。でも、怖がらせてしまった、と一番にそれを思った。俺の知る限りではそういう経験もないはずのこの子に。
よりによってAに、A相手に、何をやってんだ俺は。
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りんこ(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています!これからも楽しみにしています。 (2019年9月30日 0時) (レス) id: 2bc4477fb2 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - 急といえば急だけど、当然といえば当然な感情な感じです。だって、岸君がずっと側で、愛情たっぷりで、まっすぐで…思春期な女子じゃなくても…なりますよね。益々目が離せません!更新楽しみにお待ちしています。 (2019年9月18日 21時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
ゆっちゃん(プロフ) - 優太くん目線で楽しませて頂いています。2人が幸せになれる事を祈っています。更新頑張ってください。 (2019年9月16日 22時) (レス) id: 8464dfffe9 (このIDを非表示/違反報告)
みづきてぃー(プロフ) - このシリーズ大好きです!!たまに出てくるじんくんも好きです(笑)もどかしくて、キュンキュンする!続きが楽しみです! (2019年8月16日 2時) (レス) id: 3752f8da94 (このIDを非表示/違反報告)
すばる - すごく好きな展開です!表現力がありお話の雰囲気に一気に引き込まれました。この先二人がどうなっていくのかとても楽しみです。 (2019年8月13日 17時) (レス) id: 62d9628bcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こむぎ | 作成日時:2019年7月16日 18時