baby I love you

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「…何がそんなに気に入らないんだよ」
「……」
「言いたいことがあるなら言え。黙ってたってわかんねぇだろ」



大人げない。分かっちゃいるけど感情を抑えきれない。だって、こいつの考えていることが少しも分からない。こんな状態で、この先もずっと二人きりで暮らしていくなんて到底無理だ。今になって、あの時俺に「無茶だ」と言った大人たちの言葉が頭の中に流れてきて、それが悔しかった。

怒鳴られたAの目にはじわじわ涙が溜まっていく。俺だってもう泣きたかった。



「わたし、」



小さな口が震えながら開いた。



「わたし、やくびょうがみ、だから」
「……は、何言って」
「ゆうたくん、い、いい人なのに、なにか、よくない、ことをしてしまうかも」



全てに怯えたように紡がれる言葉。それを聞いて、声の一つも出なかった。


大人が思う以上に、子どもは大人の言ったことをちゃんと理解している。あの葬儀の場で、誰かが言ったのだろう。Aのことを“疫病神”だと。

本当の両親と育ての親と、どちらも立て続けに喪って、一番に辛かったのはこの子のはずなのに。
自分の存在が不幸を成すものだと、心無い大人の軽い一言で、本気でそう信じてしまっていたのだ。



俺がそばに寄る度に、何かをしてあげる度に、そんなことを思って一人で苦しんでいたんだろうか。
だからできる限り接触を避けて、頼らないようにして、俺に、よくないことが起きないようにって。

そんなことがあるだろうか。何の罪もない子どもが、こんな小さな体で、そんな苦しみに耐えながらこの先生きていかなければいけないなんて、そんなことが。





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