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「ちゅう、や?」
Aの頭は益々混乱した。自分を『確かな殺意』を以ってして刺した筈の男が、何ごともなかったかのように、目の前に立っているのだから。
「あたし、…中也に、」
「そうだ。俺が手前を刺した。―――手前の其の手当てをさせたのも、俺だ」
中也は平然と答える。至極単純な問いに答えたみたいに。訳が分からない、という顔をするAを置いてけぼりにし、中也は表情一つ変えないまま、続ける。
「手前を刺した後、手前が油断して刺された、みたいな適当な理由を付けて救護班に預けたンだ。ある程度手当てが終わったら、救護が席空けてる内に手前を掻ッ攫ッてきた。…まあ俺の権限で手前を預かるッつう事も出来たがな」
「なら、何で、…最後まで」
「別に俺は手前を死なせたかった訳じゃねェよ。刺したのは、俺がそうしたかッたからだ。…手前には散々引ッ掻き回されたからなァ。何もせず”この状態“にするのは虫の居所が悪かッた。なァ、…疑わなかったのか?」
「…何を、」
「刺した場所だ。急所じゃなかっただろ」
Aは奥歯をキリリと噛み締めた。彼―――中也は、はなから自分を殺すつもりなど無かったのだ。苦しんで逝け、という理由ではさらさら無い。Aの完全な見当違いだ。
Aを刺したのは、謂わばついでの嫌がらせ程度のものだったのだ。
ならば。
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(=^・^=) - 芥川さんが好き、愛してるのに、私は中原中也…。芥川龍之介さんの性格が大好きだ! (2020年7月17日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 受けて頂き、ありがとうございます!いつになっても、全然大丈夫ですので、よろしくお願いします! (2019年8月22日 17時) (レス) id: 59746b99e9 (このIDを非表示/違反報告)
蓮ノ花(プロフ) - 月華さん» 分かりました!更新につきましては、大変ゆっくりだと思うので、ご了承ください<(_ _)> (2019年8月22日 17時) (レス) id: fd07e1b99b (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 蓮ノ花さん» ありがとうございます!では「一般人で、芥川さんと恋仲の夢主が敵組織に誘拐され、芥川さんが救出に行くが、夢主は殺 され、しかも解体されていた」というお話をお願いしたいのですが、大丈夫でしょうか? (2019年8月22日 13時) (レス) id: 59746b99e9 (このIDを非表示/違反報告)
蓮ノ花(プロフ) - 月華さん» どうぞ〜!ただ私なかなかの遅筆なもので、消化に時間がかかるかもしれませんが… (2019年8月22日 12時) (レス) id: fd07e1b99b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蓮ノ花 | 作成日時:2019年4月23日 22時