甘味処営業中です【鬼滅の刃】

鬼か蛇か 弐 ページ28

＊

最後に家族と鬼殺隊のみんなに会いたかったな、と最早諦めたように思ったその時




「___何をしている、こんな所で」




一瞬の瞬きのうちに目の前に彼が現れた



月光に照らされた青緑と黄色の瞳

白と黒の縞模様の羽織

そして艶のある黒髪。


伊黒小芭内さんその人だった



『い、伊黒……さん…』



伊黒さんの後ろでビシャビシャッ、と肉の崩れるような音がして、そこにあった鬼の姿は跡形もなく潰れていた

いつのまに斬ったのか



「日が昇れば灰になる

___それよりも俺の質問に答えろ。こんな所でこんな時間に何をしていた」





…怒っている

本能的に分かった。

いつもの彼とは違い、冷たい威圧感を放ち、ただただ私を見下ろす彼に怯むことしかできなかった


しん、とあたりが静まり返ったその時




「______！？」


『…あ、』




はらり、と私の目から水がこぼれた

安心して涙がこぼれてしまったのだろう


呆然と、声を上げるでもなくはらはらと涙を流すだけの私を見て伊黒さんは酷く焦った様子で私の目の前にしゃがんだ



「…悪かった、
俺がもっと早く来ていれば、お前を危険にさらすこともなかった」



そう言って私に手を貸してくれた



『い、いえ…だ、大丈夫です』


あの威圧感も私のためを思って怒ってくれたのだと分かっている
手を引かれて歩き出す。



「…後で訳を聞くからな」









お説教はネチネチと小一時間続きました

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