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今江くんと丈くんと特支教室 ページ5

Story.3 丈side
『今江くんと丈くんと特支教室』

不意に思い出すこと。そんで不安になること。
俺は今江の側にいて良い人間なのか、ふとした時勿体無く感じては今江の笑顔に助けてもらって。
今まで何回か繰り返してきた、その発端のこと。

「…今江、覚えてる？４年の時」
「んぅー、４年生…撫で撫でぇ？」
「そこちゃうわ、やかましい」
「してほしいの？」
「だあああ止めろ！」

幼稚園の頃から一緒にいる幼馴染みの俺と今江。
今江を特支教室に送ってあげるのが俺の役目で、そのうち俺もそこへ遊びに行くようになった。
淳弥とか大橋も入学して来てから仲良くなって。
先生との出会いは３年前、古謝と末はいない頃。
今江は急な変化が苦手やから俺が話し掛けたら、真鳥先生もリチャ先生も直ぐ打ち解けられた。

「丈は明るいから友達も多そうやなあ」
「ん？真鳥先生か。俺は今江だけやけど？」

４年のある日話したこと。他愛もない友達の話。
勿論ほんま。今江以外の友達なんて考えてない。
普通と違うのは分かってた、でも本心やねんで？

「俺は今江が居れば良いから」
「ん…そっか。丈ちょっと来てくれる？」

いきなり真鳥先生に呼ばれ部屋に連れてかれて。
今江は特支教室でリチャ先生に色々聞かれてた。

「今江のことやねんけどな」
「っ！今江が何かした？また殴られたん？」
「いや、そういう訳じゃないで」

一緒におらん所で話が出たから何かと思った。
学年で一番チビの今江は暴力もかなり受けてて。
かたや成長の早かった俺は自ずと今江を力で守るようになり悪い集団から今江を引き離していた。

「丈は、いつも今江が１人でやるの難しい事とか手伝ってくれてるやろ？それは助かるし嬉しい」
「うん」
「でもな、ちょっとずつ今江も自分で出来る事を増やしていかな駄目やねん。だから教室でも丈が今江に色んな事を挑戦させたって欲しいなって」

あー成程ね。もう分かったわ、何が言いたいか。
俺が今江を集団から孤立させる原因やもんね。
でもこれ以外に今江を守る方法が分からへん。
なあ、お願いやから先生、そんな楽観的な言葉で俺が固く閉めた筈の答えの蓋を開けんといてよ。

「…分からへん。どういうこと？」

こうなったら俺はもう、ひたすら答えに気付いてない人間になりきるしか無くなってしまうから。
俺も他の奴らみたいな嘘つきの汚い人間になる…
嫌だ、こんな俺じゃ今江の側にいる資格ない。
心なしか首の辺りに締め付けられる感覚もして。

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