【小説】 colosseum -β- 【募/集/企/画】 (ページ13)

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数十分前。京雪、櫛田まなかが中心になり、食堂に全員を集めた。来たくない、という人もいたが一度だけでいいからとお願いし、何時間もかけてようやく全員集めたのだ。そこで、櫛田まなかから提案されたのは「かくれんぼをしよう」というものだった。それを聞いて帰ろうとする者もいたが「このまま人と関わらなければ信用なんて一生できない」という京雪の説得により、仕方なくという感情がダダ洩れだが、皆の参加が確定された。

　それにしても、なぜかくれんぼなのか。と聞いても、提案したのは櫛田まなかであり、彼女からは「ピンときたから」としか答えなかった。理由を答えそうにない櫛田まなかに聞いても無意味だと感じたのか、彼女に理由を聞くのはやめた。さっさと終わらせよう、という人とちらほら見られる中、かくれんぼが始まったのだ。

　時は戻り、食堂を適当に歩き回る水無月桃弥。かくれんぼの鬼は水無月桃弥を含めて6人。

「こんなにこの施設は狭いのに、いったいどこに隠れてるっていうんだ……」

　大きな溜息をつきながら、やれやれといったように首を小さく振った。場所は移り変わり、管理室前あたりをぶらぶらとしていた櫛田まなかは、佐久間澪に呆気なく見つかったのである。隠れる場所が見つからなかったため、その辺を歩いていたという。逆に、佐久間澪が見つけるまでよく見つからなかったな、と思わされる。鬼に見つかったら自販機横のベンチに集合しなければいけない。櫛田まなかと佐久間澪は、二人でベンチに向かった。

　ベンチに着くと、既に蜘蛛川巴が座っていた。隠れたいと思ったところに、先客がいて場所を探しているときに見つかってしまったらしい。

「そういえば、澪ちゃんは隣の301から、どんどんってするー？」
「どんどん？ ……さあ、隣は空き室でしょ？なんにも聞こえないよ」
「ふーん、そっかあ」

　うーん、と唸りながら櫛田まなかは蜘蛛川巴の隣に座る。既に踵を返し、2人から離れていた。しかし、思い出したかのようにはっと立ち止まり、振り返った。

「301ではないけど、隣の部屋はどんどんと騒がしかった気がするよ」
「え？」

　蜘蛛川巴が何か言いそうだったが、佐久間澪はそれに気づかず、階段を下りていった。佐久間澪の言う301ではない隣の部屋は208なのだが、その部屋は蜘蛛川巴が使っている部屋だったのだ。同室の相手は天音紅羽で、部屋で暴れるタイプではない。もちろん、蜘蛛川巴も暴れていない。