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◆ 第一章 【隠レンボ】 ページ12

翌日、しぶしぶ施設で寝泊まりした18人。眠りにつく前は"夢であってほしい"と願っていたが、目を覚ましてしまえばそこは現実で、殺し合いに参加させられたことには間違いはなかった。憂鬱な気持ちになりながら、一部のメンバーは食堂に向かう。彼らは、元々規則正しい生活を送っていたのか自然とこの時間帯に目が覚めたようだった。残りの人は、まだ信用していないのか「自分で朝食を作る」と断り「まだ寝ていたい」と二度寝をしたり「一人にしてほしい」などの理由で集まっていなかった。
 その日も、何か変わったところがあるかもしれないと、施設を調べ回ったが何も情報は得られなかった。むなしくも時間が過ぎていく――。

「そういえば『unknown』のところ、一番上……変わってたな」

 時刻は進み、晩御飯を食べている最中に立花樹が思い出したようにつぶやいた。それを聞いていた人は、小型タブレットを起動してすぐに確認する。たしかに、画面には『アカネ』という文字があった。タップしてみると、左の瞳が黒、右の瞳が血のような赤の、左右非対称的な瞳の色が印象的な女の子のアバターが現れる。能力・武器の項目は『不明』と書かれ、横に『アバターとすれ違おう』というチャレンジミッションのような一文が載っていた。そして、状況は『生存中』だった。

「もう登録した人がいるんだ……」

 "ありえない"と言いたそうな顔の夜月明莉が口元を手で押さえながら言う。しかし皆の中に、殺し合いにノリ気な人はいたのか? という疑問が生まれた。

「やはり、白鳥が言ったように、内心ではやろうとしている人がいるのかもしれないな」

 皆の不安を煽る皇・セリュール・夜宵。といっても本人はそんなつもりはないのだが。彼女の言葉を聞き、その場にいた人は瞳に不安を宿らせた。

「なんとかなるさ。例え1人がやりたいと思っても、僕たちはやらないんだし」

 そう花残響は言ったが、皆から不安がなくなることはなかった。夕食を食べ終わった人々は部屋に戻って行った。何か打開策が見つかると信じて。しかし、何も変わることなく3日が過ぎた。ゲームマスターの話を信じると、コロシアムが始まるのは今日を入れて残り3日なのだ。

「それで……どうして、こんな状況(こと)に……?」

 食堂に来た水無月桃弥は口をあけながら、そう言った。

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作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/utahakiku08/  作成日時:2019年7月7日 14時

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