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・(+あとがき) ページ22

なんと雅姫のおばあちゃんは、一度だけ帰ってきたことがあるのだとか。その時に場所を教えてくれたらしい。
確かにこの村を出て他の島に移り住むのであれば、ここの村にいた”僕たち”は死んだと言えるかもしれない。なんにせよ、ここでの交友関係も家族さえも捨てなくちゃいけないのだから。
「ついてきてくれる?」
どこか不安そうにそう僕に聞いた雅姫に、小さく頷く。
「うん。最後の一瞬まで一緒にいたいっていったからね」
袖が引かれる思いもある。それでも雅姫の笑顔が崩れないならそれだけで僕には十分だと思えた。
案の定雅姫はほっとした顔をして、柔く微笑んだ。

「それじゃあ、行こう」


20XX年 8月23日 雪のような青みがかかった灰が降る日に僕と周雅姫は死んだ。少なくとも村ではそういう風に言われているはずだ。
それでも僕だけは知っている。
あの日君を助けられたことを。
僕だけは覚えている。
君とあの夏を超えることができたということを。


「あ、お母さんおかえりー!」
「ただいま。あら、何のお話してたの?」
「んー・・よくわかんない!」
少女は嬉しそうに母親に抱き着く。母は軽々とその少女を抱きかかえ、たかいたかいをしてやっていた。
「まだ深雪には早かったかもしれないな」
「何の話をしていたのよ」
母親は溜息をついて、父親の方を見る。父親は肩をすくめて笑った。それにつられて深雪も笑いだし、母にまで広がった。
どこからみても幸せなその家庭は、のちに村の全員から信頼される村長になるのを今の彼らはまだ知らない。
窓から見える灰は、あの夏を彷彿とさせるようにしんしんと降り続いていた。

――――――――
はじめまして、mokomokoと申します。やけに長い小説にお付き合いいただきありがとうございました。他の作者様の素敵な作品に私などが入っていいのかと思いますが、とても楽しい企画に参加できてよかったです(*´ω`*)

さてさて、少しだけ小説のお話を。
舞台は近未来の地球で、生贄と決まっている少女と、なかなか勇気を出せない少年が未来を変えていく、ボーイミーツガール的なお話を目指したものです。テーマとなった雪青灰色は中国の色で、灰色に近い色です。オリジナルを書くのは久々だったので至らぬ点があると思いますが目をつぶっていただければ幸いです。

最後に。素敵な企画を立ててくださった主催者様と、他の物語を書いてくださった皆様に感謝を!できればまたいつかご一緒できれば嬉しいです。ありがとうございました!

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作者名:8人の小説家 x他6人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年6月3日 18時

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