伍 ページ30
「谷崎、Aも一緒に行ってやれ」
Aは相変わらず何を考えているのか判らない瞳で、背後の谷崎兄妹を見やった。…ナオミが「兄様が行くならナオミも附いて行きますわぁ」と谷崎の首を抱きしめている。
「…判った」
その瞳に宿る光の正体が一体何なのか、判る者は誰もいなかった。
依頼に赴く敦たちが各々で準備に取り掛かっている頃、Aは。
「お姉さん」
「え、あ、はい？」
…依頼人の女性に話しかけていた。年の割には小さい、紅葉のような手が依頼人のスーツの裾を掴む。寡黙そうな少女に突然話しかけられて依頼人は戸惑っているようだった。
「お姉さんの企業は何をしているの？」
「え、…弊社は主にぎやまんを取り扱っておりますが…」
「…ふぅん」
ドクン。依頼人の心臓が嫌な音を立てた。
この少女は何というか…異様だ。こんな小振りな形をしている癖に、その実全然幼気な様子を見せない。その子振りは正直いって、不気味だ。
…否、寧ろその逆なのかもしれない。この幼い容貌が隠れ蓑になって、彼女のその、怪物じみた本性を隠しているのかも…。
だってほら、彼女は今にも、その赤目で自分を見透かそうとしている。
「お姉さん？」
呼ばれて、ハッとした。もう少女の目は自分を真っ直ぐに捉えてはいなかった。子どものように関心が他に移ってしまったのかもしれない、いつの間にか依頼人から背を向けている。
「頑張ってね」去り際、彼女は云った。嫌な汗が、依頼人の背中に伝った。
「何を…」
思わず聞き返してしまう程に、彼女はその身を強張らせていた。
「お仕事」
少女は徐に振り返った。あの赤い瞳が、まるで紅玉のようにギラギラと輝いていた。
(やっぱり)
依頼人は息を呑んだ。根拠も無い、証拠も無い。けれど分かる。
＿この少女は、自分が今からやろうとしている事を知っている。
どうする。どうすれば…。
「じゃあ、行きましょうか」
谷崎が声を掛けた時、依頼人は渦巻く自分の意識から抜け出す事が出来た。
「え、えぇ」
そうだ。自分は一体何を危惧していたのだろう。こんな子どもに分かるわけがない。作戦は順調なのだから…。
慢心は命取りになるという事を、まだ彼女は気づけていない。
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サラ(プロフ) - あいさん» ありがとうございます、張り切ります! (2018年11月12日 1時) (
レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - おお！更新ありがとうございます！これからもファイトです！ (2018年11月6日 8時) (レス) id: a2c75168cb (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - あいさん» いえいえ、待っていてくださってありがとうございます!何とか書き上げられるように頑張ります! (2018年10月22日 23時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - ストーリーが思いつかない感じなんでしょうか？全然待つので、最後までお話が読みたいです！よろしくです！！もし、しつこかったらすみません･･････更新頑張ってください！ファイトです！ (2018年10月22日 21時) (レス) id: a2c75168cb (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - あいさん» いえいえ、ご期待に添えるか判りませんが、頑張らせていただきます!これからもよろしくお願いします! (2018年8月21日 22時) (レス) id: cb57f05521 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラ | 作成日時：2018年8月21日 22時
