| 太宰 ページ10
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誰かの寝息の音で目を覚ます。目を薄らと開ければそこは、見知らぬ天井、見知らぬ場所。
寝息のする方を見れば、そこには眠っている太宰くんが居た。
その瞬間、意識が覚醒する。
そうだ、私は太宰くんに殴られて此処迄来たんだ。
「…私を此処迄連れてきた癖に、すやすやと眠りやがって……」
寝顔は子供のようだった。だが、何故か無性に怒りが湧き、拳を握った。
私がされた時と同じ様に、太宰くんの鳩尾に拳を落とす。すると、太宰くんはヴッと声をあげて目を覚ます。
「いたた…刺激の強い目覚まし時計だね」
「太宰くんには之くらいがお似合いだよ…
結構部屋、片付いてるのね」
「片付ければ来てくれるって云ってたからね」
素直な太宰くんに違和感を覚える。太宰くんを見てみれば、目を閉じて澄ました顔をしていた。
「…何かムカついたから帰る」
「ええ、そんなあ
…そうだ!良い自_殺方法が有ったんだった!Aさんも一緒にやらないかい?」
"良い自_殺方法"。
そう言われて飛びつかない訳が無い。
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「…之本当に死ねるの?」
2人してドラム缶に挟まり、死なずにもう30分程経っている。
お腹が圧迫され、足も痛い。只、苦しいだけの自_殺方法だった。
「ヴッ…苦しいだけだ…よし、助けを求めてみよう」
「無駄に決まってる」
太宰くんはスマホで電話をした。
自_殺未遂繰り返してばっかの私達だから無駄だろうけど。
「あ、乱歩さん?」
『何?』
「助けて」
『何で?』
「死にそう」
『良かったじゃん』
「そうだけど『じゃあね』
その会話に思わず笑いが込み上げてくる。
そろそろ本気で苦しいので、私は異能力を使うことにした。苦しすぎる。
「…っしょ」
ドラム缶がその場から消え、私は太宰くんの目の前に立っている。
"もし、私が勧められた自_殺方法を試していなければ"の世界線だ。
太宰くんは私が異能力を使った事に気づき、苦笑いする。
「Aさん、異能力の扱い雑になってきてません?」
「そんな事ないない」
私の事も出して呉れたら善かったのに、何てぶーぶーと不満を語る太宰くんの頭に拳骨を入れる。
呻き声をあげ乍、又誰かに電話した。
次は誰にだろう。
『は、はい?』
「やあ、敦君」
嗚呼、銀髪の少年か。
そう云えば、社員にするんだったよね。
飽きたので電話している太宰くんに手を振って私は背を向けた。
帰って飛び込み易い駅でも見付けよう
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とんかつ(プロフ) - uevevshさん» ありがとうございます!頑張ります! (2023年3月24日 9時) (レス) @page10 id: 9a7e0ef9d9 (このIDを非表示/違反報告)
uevevsh(プロフ) - どうしよう可愛いッッッ!!!!!!面白い作品をありがとうございます!!所々、キュンキュンも入っていて素敵です…!更新待ってます!!! (2023年3月23日 13時) (レス) @page8 id: 7b11ace105 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とんかつ | 作成日時:2023年3月21日 13時