| 先客 ページ3
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何時も通り"自_殺をしようとしていた"私はヨコハマに流れる川を見ながら歩いていた。
此処でいいかな。
坂を降りて、川の近くにしゃがみ込む。そして、袖を軽く捲り川の中に腕を入れた。
冷たく、緩やかな川を感じる。
「却説、今日の川の調子は何時もより何倍も良いね。
自_殺に良さそうな川だ。」
そう呟きながら、腕を引き上げると川に目をやる。
「飛び込むかな……って…」
ブクブクブクブク
あれは……
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「太宰く〜〜ん??」
「あれ、Aさん」
水浸しになった、Aと川を流れていた太宰治。
Aは腕を組み乍、不満そうに太宰を舐めるように見る。
「"あれ、Aさん"じゃないのよ。なにしてたの」
「嗚呼、入水ですよ。Aさんは?」
「私?私は…じ、自_殺」
同じ目的だったということに気づき、Aは目を逸らす。
厄介な人間に会った、と思ったに違いない。
「取り敢えず、探偵社行こうか」
Aはゆっくりと立ち上がり、太宰を見た。
すると、太宰はまた寝転んでいた。
まさか此奴…とAは顔を引き攣らせる。
「…寝やがったな」
Aは太宰の腕を掴み、腕と足に力を込め担いだ。
服も髪の毛も濡れている太宰とA。服も、髪の毛も肌に張り付く。
鬱陶しいなあ、と舌打ちをする勢いで嘆いたAは、太宰が起きていることを知らない。
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苦しくなってきて、本当に死ぬかと思い少しだけ焦りを感じた私だが、誰かが川に飛び込んだ音が耳の隅で聞こえ、安堵した。
結果的に、引き上げた人物はAさんだったのだが、何ヶ月も探偵社に顔を出さなかったので、酷く懐かしく感じた。
狸寝入りをしてみると、Aさんは「寝やがったな」と一言言って、私を担ぎあげた。
…私より身長低かったよなAさんって。
そして、最初に戻る。
`
「太宰く〜ん、起きて〜」
探偵社のお風呂を嗜んだ後、髪の毛を拭き乍太宰に声をかけるA。
太宰はソファの上に寝転がり、狸寝入りをしていた。
全員、其のことに気づいている為、誰も起こそうとはしない。
だが、Aは起きなさすぎる太宰に呆れて、乱歩との会話を止め起こしに行ったのだ。
「だざ……国木田ぁ〜、太宰くん起きないよ」
もう辞めたい、という顔で国木田に目を向ける。
国木田はパソコンと睨み合いながら、嗚呼、一寸待ってろ。之を終わらせてから…とAの助けを求める目から顔を背けた。
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とんかつ(プロフ) - uevevshさん» ありがとうございます!頑張ります! (2023年3月24日 9時) (レス) @page10 id: 9a7e0ef9d9 (このIDを非表示/違反報告)
uevevsh(プロフ) - どうしよう可愛いッッッ!!!!!!面白い作品をありがとうございます!!所々、キュンキュンも入っていて素敵です…!更新待ってます!!! (2023年3月23日 13時) (レス) @page8 id: 7b11ace105 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とんかつ | 作成日時:2023年3月21日 13時