| 目覚め ページ18
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目を覚ませば、何処かで見た事のあるような天井、そして布団。ある記憶がAの脳に浮かび上がる。
自然と横を向いて"彼"を見た。
｢…又？｣
｢おはようAさん。まただよ｣
Aは又、太宰の家に来てしまったのだ。太宰は寝ていた体を起こすと、Aの額に触れる。
｢Aさん、漁師に釣り上げられて攫われそうだったんだよ？其れを私が見つけて此処迄連れてきた｣
｢嗚呼…そうだったの…有難う｣
｢…熱も有る。当分の間、入水自_殺を試みるのは辞めよう｣
｢ふふ…太宰くんには云われたく無かったな｣
太宰は淋しそうな、哀しそうな笑顔をAに向ける。だが、そんな表情も直ぐに消え、何時ものヘラヘラとした笑みに変わった。
｢さあ、今日は一日休みですよAさん！｣
｢え、そうなの？太宰くん出社しなくて善いの？｣
｢明日マフィアから脱出したことにしようと思ってね。｣
｢わあ、悪だね｣
｢ずっと出社していなかったAさんには云われたくないかな｣
というか捕まってたんだ、なんて云い乍上半身を起こすA。そんなAの肩を押して布団に戻すと、今日は寝てて下さい、と一言云う。
Aは厭そうな顔をしたが、熱を出しているうえに昨日の異能の代償として耳がよく聴こえていない。そんな状態で動くのは危険だと自分でも思い、寝る事にした。
｢太宰くん｣
｢はい、如何しました？｣
｢お腹が減った｣
｢…何かお作りしましょうか？｣
｢否、作れとは云ってないの。太宰くんが作ったら、頭可笑しく成るもの出来上がりそうだし｣
心外な、と笑う太宰を見て目をそらすA。そして、何か買って来て欲しいな、と呟いた。
｢…Aさんがお願い事をするなんて、珍しい｣
｢厭だった？｣
｢いえ、全然。何か買ってこさせますね｣
｢だ、誰に…？｣
太宰は妖しげに口角をあげると、誰かに電話をした。Aは電話している太宰をちらりと見ると、直ぐに逸らし目を瞑った。
刹那、殴られているかの様な痛みがAを襲う。
段々と太宰の声が歪んで聴こえ、自分の呼吸音、心音、そして此処には居る筈の無い赤子の悲鳴のような泣き声が耳を刺す。
目尻が熱くなり、手が震え、汗が吹き出すだろう。
Aは、僅かに目を開き、床に釘付けされたかの様に動かない腕を挙げて太宰に伸ばす。
太宰は、Aの異変に気づいた。
｢ッ、Aさん！？｣
彼女の耳にその声は届いたのだろうか。
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とんかつ(プロフ) - uevevshさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2023年3月24日 9時) (
レス) @page10 id: 9a7e0ef9d9 (このIDを非表示/違反報告)
uevevsh(プロフ) - どうしよう可愛いｯｯｯ！！！！！！面白い作品をありがとうございます！！所々、キュンキュンも入っていて素敵です…！更新待ってます！！！ (2023年3月23日 13時) (レス) @page8 id: 7b11ace105 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とんかつ | 作成日時：2023年3月21日 13時
