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| 朝 ページ2

*





元から黒く暗い空が、灰色の雲で埋まって行く。
今にも雨が降りそうな午前2時。


「…素敵な日になりそう」


傘を手に取り、玄関のドアを開く。
外の冷たい風に体が強ばった。


「却説…確か、近くに良い川があったはずよね。」


綺麗な黒髪を揺らして、彼女は鍵も閉めずに歩きだす。




*




「あの、国木田さん…」

「どうした谷崎。太宰なら"良い自_殺日和だ"とか言いながら川に飛び込みに行ったぞ」


パソコンと向き合いながら、何時も通り仕事をこなす金髪の男。男の名は国木田独歩。
苦笑いしながら、嗚呼…、と頷く萌え袖の少年。名は谷崎潤一郎。

国木田の口から出た名前、太宰とは太宰治だ。

この社では、太宰が川に飛び込むのは日常茶飯事である。全員、止めようとは思わない。ましてや、自_殺嗜癖(マニア)とも呼ばれる程だ。遺体の状態で見つかっても「良かったな」でお終い。

谷崎は自身の席に座る。その後ろから抱き着く、ナオミ。
2人は、兄妹だ、と言っているが全員追求はしないようにしている。

そんな時、扉が軽く叩かれた。


「なんだ、客人か?」


現在、その場には国木田、谷崎、ナオミ、そして、ラムネを詰まらなそうに飲む江戸川乱歩、事務員の春野綺羅子。
全員、ドアの方に視線を向けるだろう。

谷崎は立ち上がり、ドアを開ける。
そこに立っていたのは、黒髪の女性。




「太宰さん!?しかも、Aさん!?」

「久しぶりだねぇ、潤くん」


太宰治。そして、黒髪の女性。名は久坂A。

Aは華奢な見た目をしているのにも関わらず、自分よりも身長が高い男性を担いでいるのだ。


「川に飛び込んで死のうかなって思ったんだけど、先客がいたんだよ〜」

「A!!!今迄なにをしていた!!!何年姿を現さなかったかわかっているのか!!!」

「否待って其より太宰くんでしょ、!?」



*

| 先客→←彼女



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とんかつ(プロフ) - uevevshさん» ありがとうございます!頑張ります! (2023年3月24日 9時) (レス) @page10 id: 9a7e0ef9d9 (このIDを非表示/違反報告)
uevevsh(プロフ) - どうしよう可愛いッッッ!!!!!!面白い作品をありがとうございます!!所々、キュンキュンも入っていて素敵です…!更新待ってます!!! (2023年3月23日 13時) (レス) @page8 id: 7b11ace105 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とんかつ | 作成日時:2023年3月21日 13時

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