ちびわたとちゃいパパ２〜もっとなかよし〜

おひるね ページ10

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「おー鰯雲」
すっかり秋めいた高い空を見ながら、ベランダから干していた寝具やクッションを取り込む。
寝室でベッドメイキングをしてからリビングのソファでお昼寝している渉を起こしに行くと、さらさらの髪の毛が寝汗で束になっていた。

「あー、あー。ベタベタ…」
ふふ、子供ってなんでこんな汗かくんだろ？服はもちろん、下に敷いたタオルもびしょびしょで色が変わっている。
濡れて頬に張り付いている髪を梳いて耳にかけてやる。起きる様子もないのでほっぺをつついたり鼻をつまんだり、しばらくいたずらしてやる。

ふがふが言うものの、それでも起きないので
「わーた？そろそろ起きて。夜眠れなくなるよーっと」
抱き起こしても渉は肩口にこてんと頭を乗せてそのまま眠り続ける。

「んもー。わぁた？起きてよぉ〜。汗流そうよぉ〜」
耳元でしゃべっても、だっこしたままくるくる回しても、顔に息を吹きかけても、ちっとも起きそうにない。
これはもう、奥の手だな。

「わた。起きないと、ちゃい一人でハーゲンダッツ食べちゃうぞ」
小声でこそっと囁くと、効果テキメン、ぱちりと渉のまぶたが開く。
「はげだっちょ？はげだっちょ、たびる」
目をこすりながら覚醒しようと頑張るので「あっはっはっ、わた、ゲンキン！」思わず笑ってしまった。


「なにあじぃ〜？」
「んー？今日は新作の紫芋味〜」
「おいもぉ？」
「そ、おいも！見てみて綺麗な色だよ」
チップ＆デール柄のスプーンを握りしめてワクワクと目を輝かす渉に見せると
「げぇー。まじゅしょう！」と顔をしかめた。

「えぇ？おいしいよ？」
「わたくん、ももがいい」
恐々と紫色のアイスを小さな両手で押しやるので、しかたがなしに白桃味をあけてやり、紫芋は俺が食べることにした。

「おいしーのになぁ」と何度も言いながら食べ進めていると気になったのか、
「やっぱりおいもさん、ひとぷち、ちょーらい！」
アイスでべたべたの口をひな鳥のようにあんぐりと開けるので、一掬い運んでやると目をぎゅっとつぶって味わう。

「どう？」
「んー。うん！こりぇ、かっけー！」
「ふふふ。かっけーか。それはよかった」
この夏に郁人と遊んだときに覚えた言葉で答えるのがかわいらしい。
そのまま交換して仲良く食べ終えた。




までは良かったんだけど…
寝る時間になっても渉が眠らない。
いつものように絵本を読み聞かせても寝ない。すでに３冊読んでいる。
くっ…やっぱ昼寝しすぎたな。これは長期戦になるぞ…

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