おあずけ ページ28
「やっべ!」バチッと目を開け覚醒した俺は渉を起こさないように、かつ迅速にベッドから抜け出し、急いでダイニングへ向かう。
ヤバいヤバい、もう集合時間になる。サッと着替えて髭剃って、急いで溜まっていたアマゾンのダンボールをビニール紐でまとめて玄関から飛び出す。はぁ、なんとか間に合った。
30分後、一緒に当番をした近所のおばちゃんたちから労いのお菓子とみかんをいただいて家に戻る。
「ふあぁーあーあ。」もっかいねよーと大きなあくびをしながら寝室に向かうと渉の姿がない。「あれ?わた?」きょろきょろと寝室を見回すが気配がない。
「わたぁ?どこー?」かくれんぼかな?リビングのわたの秘密基地の子供用テントをのぞいても、いない。
しゃがんでダイニングテーブルの下を除いてもいない。んー?立ち上がって、テーブルの上を見て青ざめる。
ビニール紐切ったキッチンばさみが…ない!
寝室からシャキンと音がする。急いでもう一度寝室に戻ってよく見ると、カーテンの裾が膨らんでいる。カーテンの裏か!くそ、ベッドで死角だった!
急いでカーテンを開けると…
そこにはなんと無残な…
床に散らばる髪の毛と
ザンバラ頭の渉。
見つかっちゃったとバツの悪そうな顔をして渉がハサミを後ろに隠す。特に怪我はしてない様子に安心するも、長さのバラバラになった前髪を見て俺はあちゃーとおでこを片手で押さえた。
「あーわたぁ…切っちゃったの?ハサミは触っちゃダメって言ったでしょ?ちゃいにハサミ返して。」
ゆっくり座って目線をあわせて手の平をスッと差し出すと、渉は俯いて上目遣いにハサミを俺の手に乗せる。
ハサミを除けてから、渉の両手をキュッと握る。
「渉。ハサミは危ないから、ちゃいがいないときは触らない。約束したよね?」
「…ぁぃ。」渉の目に涙が溜まりだす。
「わた、ごめんなさいは?」
「…ごめしゃぃ。」張力の限界を超えた涙がポロリとこぼれる。
もー。そんな顔されたら困る。
「もうしないって約束できる?」
「ん、できりゅ…」口を引き結んで真剣な顔をするので「ふふ、約束ね。」ギュッと抱きしめてやった。
結局、どーにもならない前髪は極限までぱっつんになって、次の日、二階堂先生に思いっきり笑われるハメとなった。
サロンデビューは…しばらくおあずけ。
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coguma(プロフ) - めろにかさん» コメントありがとうございます!ラスト4話は一番最初に作ってありましたので予定通りですよ。なのでお気になさらず! (2016年7月7日 0時) (レス) id: cd9086678d (このIDを非表示/違反報告)
coguma(プロフ) - のあじさん» コメントありがとうございます!反応いただけて本当に嬉しいです!「いい意味でヤラれた」励みになります!続編もがんばりますので今後ともよろしくお願いします(*^_^*) (2016年7月7日 0時) (レス) id: cd9086678d (このIDを非表示/違反報告)
めろにか(プロフ) - なんか私のせいでラストおかしくなっちゃいましたか…?もしそうならごめんなさい! (2016年7月6日 7時) (レス) id: f8ad438ee5 (このIDを非表示/違反報告)
のあじ(プロフ) - こんにちは。シリーズ、とても楽しく読ませていただいております。私はオチのところ、いい意味で「マジか!ヤラれたーΣ(゚∀゚)」ってなって、続きがいっそう気になって仕方なくなりました。続編も楽しみにしていますね。 (2016年7月6日 3時) (レス) id: 8f500bfd6c (このIDを非表示/違反報告)
coguma(プロフ) - かやたびさん» 毎度ご贔屓に預かりありがとうございます!かやたびさんにそう言っていただけてホッとしました。パパママのことももっと書きたい所存です!本当にコメントありがとうございました( ´ ▽ ` ) (2016年7月6日 2時) (レス) id: bbde69f82a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:coguma | 作成日時:2016年1月18日 3時