ちびわたとちゃいパパ〜ふたりはなかよし〜

おもいで ページ12

微笑ましく見ていたけれど、ちょっと寒くなってきた。ココアでも飲みたいな。
公園入り口の自販機まで歩きながら、小銭どっかにないかな？とウェアのあらゆるポッケを探ると腕のとこに紙の感じ。ビンゴと思って取り出すも「なんだリフト券じゃん…」思わず舌打ちしてつぶやく。
でもそれを見て、思い出がバァーッと蘇ってきた。

そうだ。このウェア、あいつに揃えてもらったんだった。初心者の俺に一式選んでくれて…。
車出してくれて2人で雪山行ったなぁ。転んで座ってばっかいる俺に、滑りながらうまいことボードで雪かけてきやがって、「座ってたってうまくなんねーぞ！」って笑いながら発破かけてきたっけ。
そのくせ教え方下手だし。懐かしい。ほんと、懐かしいなぁ…

リフト券を見ながら、ちょっとセンチメンタルに浸っていたら、足に渉が抱きついてきた。
「ちゃいすけぇ？いあいの？」心配そうに見上げてくる。
「ッ…。…痛くないよ、大丈夫。わた、ありがとな。」よいっしょっと抱き上げてぎゅっと抱きしめる。

「寒いね、わた。おウチ戻ろうか？ココアのも？」
「ん！わたくん、コアアのみゅ〜！ゆきやるまもコアアのみゅ？」
「雪だるまはココア飲んだら溶けちゃうよ？」

雪だるまも連れて帰ると渉が駄々をこねるので地面に降ろし「一人だけね？どの子にする？」と言うと、ててててと走り出しひとつ雪だるまを掬い上げ
「ママにする！」と満面の笑顔。

…んー。似てなくも？ない？というより、そろそろ訂正したほうがいいかな。まぁ混乱するだけか。まいったな。
雪だるまを大事そうに抱える渉をそっと抱き上げて、雪だるまを壊さないように家へと戻った。


「わた、雪だるまが溶けちゃうとかわいそうだから、冷凍庫いれとこう。」
家に帰ってすぐにそっと雪だるまを冷凍庫へしまう。
冷凍庫の扉を閉める寸前、渉が「ママ、ねんねね〜。おやすみね〜。」と小さな声で呟いた。

部屋着に着替えさせ、ソファに並んで座って、火傷しない程度に暖めたココアを飲ませる。
「あちあちだから、ゆっくりね。フーフーしてね？」
「あい！ふーふー。」口を尖らしてゆっくり飲んでいる渉の横で、俺もココアを飲む。

ココアを飲み終わると、そのまま渉は俺の膝を枕に寝てしまう。ブランケットを渉にかけて俺も少し昼寝しようと、そのまま目を閉じた。

どうか見るなら、楽しい夢を。君との思い出の夢を…

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