6:怪奇現象 ページ6
「……ハァ、」
思わず溜め息が溢れてしまった。
深夜に運び込まれてきた急患のオペが実に三時間。
何とか状態が安定し、書類やら何やらを片付けてしまおうと医局に戻ろうとした矢先の出来事だ。
「あー、もー、またかぁ……」
完全に停止してしまったエレベーターは私が戻るべき医局のある三階を通り越して、いつも昼食を摂っている屋上までやって来た。
かちかちとどの階のボタンを押してみても全く反応しないくせに、エレベーター内の電気は煌々と光っている。
ここは病院。人の生死に関わる場所。
勿論、奇妙な出来事は日常茶飯事、とまではいかないが、気にしないで居られる程度には頻繁に起こる。
見知らぬ黒い影が通ったり、子供の遊ぶ声が聞こえたり、誰も居ないはずの病室からナースコールが鳴ったり、まぁ、色々だ。
勿論原因がわからないものも多い、しかし、私の場合は少し違った。
──私は、所謂、"見えるヒト"だ。
初めてそれを見たのは中学生の頃。
隣の席に座った少年にまとわりつく緑色のメロンみたいな何か(それはヒトのような形をしていて、あるいは戦隊ヒーローの敵役だと言われても疑わずにすむような見た目だった)を見たのが初めてだった。
でもまぁ、彼の場合は、それはただソコに居るだけのようで、害のあるものではなかったのだと思っていた。
俗に言う守護霊とか、そう言う類いのものだろうと。
しかし、彼は、十年程前、まだ高校生なのに、若くして、異国の地で、命を落としてしまったのだった。
あの時、私が彼に"みどりのヤツ"の事を教えていれば、何か変わったのかもしれないと思うと、悔やんでも悔やみきれない。
仕方がないのでエレベーターから降りれば、私のすぐ後ろでその扉は閉まり、ごお…と音を立てて下へ下っていった。
もう一度、大きく溜め息を吐いてから、重い鉄の扉を押し開き屋上へ出る。
墨を溢したような夜空が広がるその屋上の、フェンスの向こう。
「なっ……！？」
ふらりと揺らめいた人影に、思わず走り出した私は、緩いパジャマの裾をつかんだ──ハズだった。
重力に逆らうことなどできず、重い頭が地面を向く。
伸ばした手の先では、ふわりと赤毛が揺れた気がした。
────ドンッ！！
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ちよ - 花京院の名前に反応してしまいました！露伴先生も花京院も大好きなキャラなので興奮しながら読んでしまいました^^; (2020年12月30日 4時) (
レス) id: b3a59bf25e (このIDを非表示/違反報告)
なな - 更新楽しみにしてます！！ (2020年11月20日 0時) (レス) id: 990f265493 (このIDを非表示/違反報告)
豆(プロフ) - レス遅くなってすみません…。露伴先生かっこいいですよね〜〜！！確かに最近は五部夢が多い印象ですねぇ……。 (2020年9月27日 20時) (レス) id: 1f2cc878d7 (このIDを非表示/違反報告)
せいちゃん(プロフ) - 岸辺露伴先生がジョジョで1番好きなキャラなので、めっちゃ楽しく読ませて貰いました！最近あまり4部の小説書いてる人が少なかったので、嬉しいです！これからも更新頑張ってください！楽しみにしてます！ (2020年9月19日 18時) (レス) id: da5e2670c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆 | 作成日時：2020年9月10日 17時
