33:彼 ページ33
「おつかれさま」
「あ……岸本先生、お疲れ様でした」
はい、と手渡された珈琲を受け取ってラベルを確認する。
……微糖かぁ。
あんまり好きじゃないんだよなぁ……。
既に時刻は草木も眠ると形容されて良いくらいの時間だ。
もらったものを飲まないわけにはいかないので、プルタブを起こして口をつける。
「浅羽先生、微糖嫌いでしょ」
「えっ、」
「そう言うとこよ、貴女の悪いとこ」
ことん、と目の前におかれたのは、私がいつも飲んでいるミルクティーの缶。
「嫌なことはちゃあんと言わなきゃならないのよ。今日だってデートだったんでしょ」
「え、いや、それは、その、」
「彼、待ってるわよ」
「は……？」
「浅羽先生明日休みね」
じゃ、そう言うわけでと岸本先生は白衣をばさりと脱ぎ捨てたかと思えば、瞬きをするたった一瞬の間に荷物を持ってきたらしく、挨拶を返す隙もなく医局から出ていってしまった。
「……彼、って」
思い当たる人間なんて一人しかいない。
でも、なんで、だって。
ロッカールームに駆け込み荷物を掴んで、そのまま医局を飛び出す。
廊下を走っている間に白衣を脱いでくるのを忘れているのに気付いたが、そんなことはどうでも良かった。
ぶつかりそうになった看護師に簡単な謝罪を口にしながら待合室につく頃には、息が上がっていて。
「き、岸辺さん……」
「ん？……あぁ、終わったのか？」
立ち上がってぐっと伸びをした岸辺さんは、相変わらずお腹を出した刺激的な服装で、何ら変わらない表情を見せ「じゃあ帰るか」とあっさり言い放った。
「え、あ、あの、なんで、岸辺さん」
「はぁ？……僕は今日一日君のために予定を開けてたんだぜ。勿論トラサルディには行ったけどね。君の代わりに康一くんを誘ったんだが、何故かアホの億泰まで着いてきた」
「え、」
「それに君、明日は休みになったんだろ？じゃあ朝から付き合えよ。いろいろ予定をたててやってるんだからな」
つんと唇を尖らせた岸辺さんがほらいくぞと先を歩いていく。
……駄目だ、泣いてしまいそう。
目頭をぎゅっと押さえて涙をこらえながら、スタスタと行ってしまう岸辺さんの背中を追いかけた。
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ちよ - 花京院の名前に反応してしまいました！露伴先生も花京院も大好きなキャラなので興奮しながら読んでしまいました^^; (2020年12月30日 4時) (
レス) id: b3a59bf25e (このIDを非表示/違反報告)
なな - 更新楽しみにしてます！！ (2020年11月20日 0時) (レス) id: 990f265493 (このIDを非表示/違反報告)
豆(プロフ) - レス遅くなってすみません…。露伴先生かっこいいですよね〜〜！！確かに最近は五部夢が多い印象ですねぇ……。 (2020年9月27日 20時) (レス) id: 1f2cc878d7 (このIDを非表示/違反報告)
せいちゃん(プロフ) - 岸辺露伴先生がジョジョで1番好きなキャラなので、めっちゃ楽しく読ませて貰いました！最近あまり4部の小説書いてる人が少なかったので、嬉しいです！これからも更新頑張ってください！楽しみにしてます！ (2020年9月19日 18時) (レス) id: da5e2670c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆 | 作成日時：2020年9月10日 17時
