ピリオドマン (ページ23)

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さすがにスーツで出かけるのもなんやからパーカーとジーパンに着替えて、前の大きなポケットにエアガンを仕込ませる

倉「行こっか」

雛「うん」

彼氏じゃないけど車道側から攫われる可能性も考えて歩道の車道側を歩く
日も暮れてきて少し涼しい風が吹いている

倉「さすがに籠城を考えて食料調達なんて初めてやわぁ」

雛「まぁそりゃそうやでな、俺も何回か貧乏すぎて死のうかとかも考えたことあったけどここまで危険に晒されると逆に生きる気湧いてくるわ」

倉「闘争本能的な？」

雛「野生に戻った感じなんかな？」

倉「あっはっは、すごいなぁ」

雛「たつはいつからこういう仕事してんの？」

倉「えっとなぁ、実は親父が社長やねんけど、そこの傘下にあるのが丸山組やねん」

今から向かう商店街にも親父の会社の店舗があるほどやから貧乏やった信ちゃんとは真逆のボンボン

雛「えっ？」

倉「だから実はマルよりちょっと偉いねん」

絵に描いたようなポカーン顔をしてる信ちゃんに笑ってしまう

雛「よう考えたら組長にタメ口の部下ってのも変か…、だってたつの方が年下やんな？」

倉「一応2個下やね、父親同士が仲良かったから普通に遊んでたしずっとお兄ちゃんって感じやけど」

雛「御曹司と組長の息子ってヤバない？現実離れしすぎてんねんけど」

倉「俺らはそれが普通やったからなぁ…」

地元のスーパーに入ってカゴをカートに乗せる
入ったのと時間差で生鮮食品のスーパー独特の匂いが冷たい冷気に乗って流れてきた

雛「生ものはやめといた方がいいんかな？」

倉「まぁそんなに長引かせる気はないけどね、ジャガイモとか玉ねぎは買っとこか、あと米ね、あとから使えるし」

雛「そやな」

倉「そういえば信ちゃんお母さんはおらんの？」

借金してるお父さんの話は聞いたことあるけどお母さんの話は聞いたことなかった

雛「うん、もう5年前にな」

倉「そっか」

雛「お父さんも1年前に、やから別に逃げたわけちゃうねんで？まぁ運が悪かったわ」

倉「ようそれで納得できるなぁ」

雛「今まで無理やり納得せなあかんことの方が多かったし」

倉「そっか」

雛「それに、お父さんが悪い人じゃないのは息子が一番わかってるから」