喫茶店（山コンビ） (ページ31)

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甘えたいページ31

「智くんってさー誰からにも好かれるよね」

「そう？」

「うん。お客さんで初めてきた人でもすぐ仲良くなるし、さっきの猫だってさ」

「別に好かれてるわけじゃないと思うけど」

「いいや、好かれてる。智くんは昔からそうだよ。誰にだって愛されるから…」

「なに拗ねてるの？翔くん」

「俺は…智くんがみんなに取られないかってずっと思ってるから」

「取らないよこんなおっさん」

「…分かんねぇじゃん」

「それなら翔くんだってそうだろ？」

「俺があるわけないでしょ！どれだけあなたを…」

「翔くんだって分かってないじゃんか」

「え！？ちょ、智くん…！」

起きたらもう外は真っ暗で

そろそろ寝床の場所でゆっくりしようとした時だ

ドアが開き、しゃがんで僕を撫でた

「翔くんのアホ…」

「にゃ～？」

「俺だって…」

智か珍しく、元気ない

すりすりと足に頬ずりする

よく分からないけど

悲しい顔の智は似合わない

それでも僕にはこんな風にすることしかできなくて…

その時

閉まっていたドアがまた開いた

そこには翔くんが

智を後ろから抱きしめた

「…翔くんは俺のことばっかり言うけど」

「うん…」

「俺だって、同じ気持ちになったりするんだから…」

「…えっ？」

急になでなでが無くなったかと思ったら

智が翔くんの首に

腕を回していた

それはまるで

僕が智に甘えているときみたい

「あんまり若い子と…仲良くしないでよ」

翔くんはゆっくり、智を抱きしめた

大事に、優しく智の頭を撫でる翔くんは

とっても幸せそうだ

なぁ、翔くん

また僕はここへ来て

智になでなでしてもらうし

もしかしたら他の猫が

智に会いに来るかもしれない

だけど心配しなくていいと思うよ

智は翔くんにだけ

甘えたいみたいだからさ

END