コードブルー -sky again- 02 (ページ14)

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「お父さん、お母さん……」

「ん？」

「どうしたの、凛」

意識を失ったこと、そして服薬の開始もあり、
凛は再びベッドの上へと戻ることになった。

数日間の入院の準備をしながら、
凛は両親に声をかけた。

「ごめんね。
アメリカ戻るの、遅くなっちゃって」

眉尻を下げ、申し訳なさに溢れた表情の凛に、
両親は顔を見合わせて笑う。

「何言ってるの！
凛が元気になってくれることのが大事よ」

「そうそう。
仕事のことは気にしなくていいんだよ」

「……ありがとう」

優しい両親の言葉に、凛は泣きそうになる。

そんな凛を両親が抱きしめた。

「１日でも長く笑ってて、凛」

母親の静かな声に、凛の瞳から涙が零れ落ちた。

「順調そうだな」

西条は凛のカルテに目を通し、笑った。

凛も彼に笑い返す。

「吐き気も最初の２日ぐらいで治まりました」

「手足の震えや、意識障害もないな」

「はい」

西条はベッド脇の椅子に腰を下ろす。

「ただな、凛。
身体的な副作用は特に感じてないかもしれないが、
お前の飲んでる薬は脳に大きく影響する」

「はい」

先程までとは一転して、
真剣な表情を浮かべた西条に凛も口元を引き締めた。

両親も同じようにする。

「今後、どんな副作用が現れるかは分からない」

「分かってます。でも、それでも、
これが私の時間を延ばす、最善の手なんですよね」

「ああ、そうだ」

凛は母親の言葉を思い出す。

──１日でも長く笑ってて。

笑うこと。

生きること。

それが両親にできる、唯一の親孝行なのだ。

凛はぎゅっと手を握った。

「俺も治療法を探す。
だから、諦めるなよ、凛」

「西条先生……」

優しく微笑んだ西条が、凛の頭をくしゃりと撫でる。

「よし、じゃあ明日、退院だ」

お世話になりました、
と凛は両親と共に西条に頭を下げた。

アメリカ行きの飛行機に乗り込んだ凛は、
隣に座り談笑する両親に視線を向ける。

日本に来て良かった。

ここに来たからこそ、
今後を見つめることができた。

長くは生きられない命かもしれない。

それでも、両親の傍で笑っていたい。

凛は微笑み、窓の外を見る。

ありがとう。

唇だけを動かし、凛は呟いた。

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