51.黒の照準、その先に見えるもの。［照会］ ページ1
某所某日、某カフェにて――
これは、姉弟を装った男女の密会の一部である。
海沿いに面した風の気持ちいいテラス席。
黒髪短髪の男が一人、イヤホンで音楽を聴きながら波の様子を眺めていた。
その男は端正な顔立ちで、優男であると言えるだろう。
しばらくして、コツコツとヒールの音を鳴らし男の目の前に一つの人影が現れた。男はその人影に向かって一言呟く。
「お茶しようだなんて珍しいですね、姉さん」
男はテラス席へとやって来た人物を姉さんと呼んだ。
サングラスをかけたプラチナブロンドの髪を持つ女は、今はそのオーラこそ無いものの、優艶であることはその姿から明らかだった。
「そんなことないわ、いいカフェを見つけたから誘ったまでよ。……それともあなたは青春を味わいすぎて、ここには既に来てしまっている、その含みを持たせて言っているのかしら？」
残念ね……と女は、大袈裟に落ち込む様子を見せた。
その一連の流れは魅惑的で、一瞬でこの女の虜になってしまいそうであった。
「いいえ、ここに来たのは初めてです。俺の生まれ故郷とは違って、こちらには煌びやかなお店が沢山あります。そう短い時間では回りきれませんよ……」
「それもそうね」
女の言葉を否定した男は微笑みながら女を見やる。
先程の女の仕草と声色で屈しないのか、はたまたソレに慣れてしまっているのか、誘いをやんわりと断るような返事だった。
本人たちも自覚しているが、この姉弟、なかなかに海の街に映える。
たまたまこの場所を通りかかり、彼らを見つけたとすれば、なにか撮影でもしてるのではないかと思ってしまうだろう。
そう思わせられる品と美が彼らにはあった。
しばらくして、彼らのテーブルにアイスコーヒーが届けられる。
アイスコーヒーをひと口、女は一度男を鋭い目で見つめると、
「ところであなた、そろそろ気付いているんじゃない？」
確かに確信を持った声で男に尋ねた。
男は一度目を瞬かせ、不思議そうに呟いた。
「何のことですか？」
その反応は決しておかしくない。
むしろ自然なはずだった。
しかし女は、男が何のことか気づいているという前提に話を続ける。
「私のあの子……なかなか鋭いでしょう？」
あの子と、女がそう称した何かを耳にした男は、今度こそわかりやすくピクリと反応をした。
そしてふぅ、とため息をつきながら観念したように言葉を返す。
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izawa(プロフ) - 東雲虚さん» ありがとうございます！ (7月24日 21時) (
レス) id: f153ef9291 (このIDを非表示/違反報告)
東雲虚 - とても面白い作品でした 更新楽しみに待ってます！ (7月10日 14時) (レス) @page41 id: 272de617c9 (このIDを非表示/違反報告)
izawa(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2022年10月5日 19時) (レス) id: f153ef9291 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 51話、ブロンズヘアーじゃなくて、ブロンドヘアーです。 (2022年10月5日 6時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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