検索窓
今日:15 hit、昨日:3 hit、合計:207,608 hit

6 ページ25

side 緋山
「あー終わった」

手を洗いながら頭を左右に動かす。隣の白石は「男の子の方大丈夫だったかな」と呟いた。

「藤川に名取と桜井よ?それで治せなかったら誰も治せないわ」

「桜田先生ね。いつになったら覚えるわけ?」

あーそうだ。桜田だった。

「なーんか覚えらんないんだよねえ、なんでだろ?」

私の返答に白石がため息をついた。覚えらんないもんは覚えらんないわ。

続いて後処理をしていた橘先生もやってきた。疲れた様子でマスクをゴミ箱に捨てる。

「先ほど運ばれてきた少年、どうやら転んだわけではないみたいだ。突き飛ばされたようにしか見えないと報告が来た」

「え!?じゃあイジメ?」

橘先生が力なく頷いた。

「だろうな。本人はまだ意識が戻っていない。確証はできないが…

雄輔みたいに、毎日歩くので精一杯の子供もいるのにな。こういう事件が起きるたび、他人事のように感じなくなってしまった」

「橘先生…」

「…名取は置いておいて、桜井…桜田は心配ですね。もう見るからに感情移入しそうなタイプ」

「そうね、あとで話聞いてみる」

橘先生が白石にアイコンタクトを取った。え?何?

「そういやヘリの方も大丈夫そうだ。灰谷が大丈夫かはわからんが」

白石の顔に更に疲れが出始めたよ…「そっちもフォローしときます」という声はへにゃへにゃ。

「もー、何のためのシニアドクターよ。桜井と名取はこっちで様子見とくから。あんたは灰谷の慰め役でもしときな」

「ごめんね、ありがとう。灰谷先生と話し合って試しに乗せてみたはいいけど、完全に同乗者間違えたわ」

「藤川にでもしとけばよかったじゃん。なんで藍沢?」

「藍沢先生なら、仮に灰谷先生がパニックになっても落ち着いて患者さんに対処できると思ったから」

まぁ確かに嫌になるくらいあいつは落ち着いてるけどさ。

嫌になるくらい厳しいのを一番知ってるのは白石な癖に。

7→←5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (52 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
213人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:吹田 | 作成日時:2018年7月10日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。