【実.況.者】Link of Seasons Ⅱ【マリカ実.況.者】 (ページ14)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:5,269 hit

day58:螢羅ページ14

午後六時半頃。
妙な空気感の中やっと切りの良い所まで進めた私達は、
そろそろ勉強会を切り上げる事にした。
と言うか、これ以上ズズといたら気がおかしくなる。
ズ「…A。」
『っ…！何？』
急に名前を呼ばれて、体がビクッと震える。
ズ「遅くなっちゃった…から、その、
い、家まで送るよ。」
『近いから、一人でも帰れるよ？』
そう言った直後、帰る準備を整えている
私の背中にズズの胸からお腹までが重なった。
寄り掛かられ、その重みが背中に掛かる。
それでも加減はしている様だけど。
耳元で更に言葉が続く。
ズ「…分かんないの？俺はちょっとでも長くAといたいんだけど。」
『それって、どう言う…っ！？』
それに対する私の言葉が、頬に落とされた
彼の口付けで遮られてしまう。
離れると同時に、彼の体も離れていく。
ズ「……そうだ、晩飯食っていきなよ。
ここで二人で食べない？」
いつもの様な明るい声だけど、どこか焦っている様にも思える。
『…いや、流石に悪いよ。
それに、何でか知らないけど、今ね、
ズズの顔、ちゃんと見れないの。
でも明日になったら、きっと見れると思う…から。』
途切れ途切れで言葉を繋ぐ。
ズ「分かった。でもやっぱり送らせてよ。
それ位はさせて。」
『…良いよ。』
今の私には、それ以外の言葉が浮かばない。
無理に考えると、余計にこんがらがってしまうから。

『…。』
ズ「…。」
それでも、ズズの家を出る前と変わらず妙な空気が私達を包む。
二人して無言のまま歩いていると。
う「あ、A。」
『まろ…！』
ズ「って、俺は無視！？」
前からまろがこちらに気付いて歩いてきた。
それと同時に、やっと空気が元に戻ったと言うか。
う「二人で何してたの？」
『テストの後の勉強会をね。』
う「熱心だね。」
そう言うまろは、肩から塾用の鞄を提げていた。
『まろは中学から塾を続けてるんだよね。偉いなぁ。』
う「親に行かせて貰ってるだけだよ。」
そう思えるだけでも偉いよね。
ズ「……A、そろそろ行くよ。
うばまろ君、また明日ね。」
何故か感情の籠もってない声で、私とまろにそう言ってくるズズ。
急いでるにしても、その言い方じゃまろがびっくりしちゃうよ。
う「待ってよ。俺も今から帰る所だし、
せっかくここで会ったんだから一緒に帰ろうよ。
ほら、人は多い方が良いでしょ？」
まろはズズにそう言った後に、彼にニコリと笑い掛けながらこう紡いだ。
う「それとも…、俺がいると何か都合が悪いとかなの？」