【実.況.者】Link of Seasons Ⅱ【マリカ実.況.者】 (ページ13)

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day57:稲荷ページ13

ズズside

…どうしよう。

『ここはこうで……』

さっきから心臓の鼓動が五月蝿く鳴っている。

Aと目を合わせたら途端にヒートアップして、風船みたいに破裂しそうだ。

『ここはね………って、ズズ？聞いてる？』

「え、あ……うん。」

返事すらしどろもどろでどうしようもない。

呆れたのか、諦めたのか。はぁ、とため息をついたAは、

『下向いてばっかじゃあ身につかないよ？……ほら、こっち向いて？』

俺の頬をAが手で抑え、俺の視線がAを捉えるように、無理矢理俺の顔を動かした。

ばっちり視線が合う。

「あ、ちょ……ちょっと…」

まだ頬に添えられた手は離れていない。
その手は、暖かみがあって、女の子らしい綺麗な手をしている。

…って何考えてんだ変態！

「は、離せよ…ッ！ちゃんと勉強するから！」

『本当に？顔真っ赤だよ？』

「うるせえ！異性に“急接近”されて顔真っ赤にしない方が可笑しいわ！」

『……っ！』

そう言うと、途端に顔を真っ赤にするA。
「あっ、えっ」と謎のテンパりをしつつ、手を放した。

『ご、ごめん……その、勉強やろっか。』

「お、おう…」

気まずい雰囲気の中、Aは顔を林檎のように赤く実らせながら勉強を教えてくれた。

……それに対して俺は、早く大きく鳴る鼓動を、必死に隠すのが精一杯だった。