sympathy 2 (ページ24)

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番外編 RED② ページ24

美都side

すばるが珍しく真面目な顔をするから、嫌な予感がしたんだ。

最初に抱かれたのは、興味本位。

あの声を持つ人をもっと知ってみたかったから。

関係が慣れてきた頃に見せた、笑った顔や甘えた姿にだんだん気持ちを掴まれていって。

ずっと一緒にはいられないってわかってるのに、離れられなくなってきている自分がいた。

赤「美都…」

名前なんてほとんど呼んだことがないくせに、こんな時に呼ばないで。

一時的な感情で、私を縛りつけないでよ。

Aちゃんにあんな事を言ったのが、懐かしく感じる。

あの頃みたいに、いつ切られても平気な自分だったら、良かったのに。

rossoへ向かう電車の中ですばるから着信があったけど、降りても掛け直すことが出来ないまま、スタッフルームに入った。

すばるが辞めてから歌い手のバイトが見つからなくて、最近はピアノだけの演奏。

こうして弾かせてもらえる場所があるのに、気持ちは集中できないまま、毎日を終わらせてしまう。

恋愛に振り回される自分なんて、嫌なのに。

いつまでも、隣にいたあの人を思い出してしまって。

赤「中途半端な演奏すなや」

驚いて振り向けば、すばるが、そこにいた。

赤「あれ弾いて？あれ。部屋で弾いとったやつ」

部屋で……。流星……？

メロディが好きで、良くピアノで弾いてた曲。

音を出せば、歌い出したすばるの歌声がどこまでも響いていくようで、久しぶりに夢中になって弾く自分がいた。

ずっと…、このままいられたらいいのに。

この、狭いバーの中だけで、すばると二人、ずっと演奏していられたらいいのに。

でも、そんな事は叶わなくて。

この人を、閉じ込めたらいけなくて。

すばるのことを覚えている常連さんからのリクエストが引っ切り無しに続いて、閉店ギリギリまで演奏は続いた。