事件 ページ5
.
最初はなんとも思ってなかった。
そう、
最初は。
きっかけは多分あの事件から。
その夜、私は撮影を終えて
てつやの家から一人で歩いていた。
その道は人通りが少なめではあった。
でも危ないなんて、考えたこともなかった。
第一、イヤホンつけて歩いてたし。
「ねー、お姉さん
俺らと一緒に来てよ」
顔を上げると、ガタイのいい男一人、こちらを見ていた。
めんどくさい、とシカトをして、
そのまま歩こうとした。
その瞬間、
ぐらっと視界が揺れた。
男に掴まれているんだと理解するには時間がかかった。
少なくともその場には3人の男が
私の体を押さえていた。
やっとのことで絞り出した声は
なんとも無様な、言葉にならない叫びだった。
間も無く、その場に黒い車が現れ
その中に引きずり込まれた。
全力で抵抗した。
でも、複数の男にかなう訳もない。
車に入った途端にストッキングを引き裂かれ、
服の中に手羽入ってくる。
もう、死にたい。
私の頭を絶望が支配した。
その時、
閉まりそうになったドアがあと一歩のところで開き、
手をグッと引かれた。
何のことだか、さっぱり分からない。
けど、少ししてそれがとしみつであることに気がついた。
.
311人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:つんつん | 作成日時:2017年12月12日 9時