キスの鎖 in×ar

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「誰？知り合い、？」


不意にそう聞けば、返事は帰ってこない

どうしたんだろう…



近づいてくる彼に対し、大ちゃんは俺の服の袖を握り一歩下がってしまう



「、大ちゃん？」


『、い、行きましょ、』


「、誰？」



グッと弱い力で引っ張られる

ついて行けない俺は、何もできない



「大貴。なんで、逃げるの？」



目の前に立った、彼は大ちゃんをどこか見下すようにして目をやる

それが、どこか怖くてしょうがない

誰、

この子、



『、逃げて、ない…』


「なら、別にいいんだけど、」


『…なんで、い、るの？』


「俺だって人間だもん。買い物くらいするよ」



なんだか、この空気はダメな気がしてすぐさま大ちゃんの腕を引いて後ろに隠す

そのとたん、彼は俺を睨む


怖いその目を大ちゃんから俺に向けられる怖さ
手が震えてしまう、



「誰、あんた、」


「俺の(・・)大ちゃんに手を出さないでもらえます…、」



言えた。

恐怖で高まる鼓動に嘘をつくようにして口を開けた



「俺の？どういった関係で、？」


「夫婦です」



その精一杯の言葉に対して、鼻で笑う彼にどこか苛立ちを覚える

なにが、おかしいんだ？



「、ということは、伊野尾慧さんですよね」


「あなたは？」


「俺は、山田涼介。」



その名前を言った時に感じる、袖を握られるこの力、



「…大ちゃん、？」

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