T.M-30 ページ30
◆◆◆
……ついに来てしまった、この日が。
さっきから心臓がバクバクと音を立て、緊張で眩暈がしそうだ。
増田さんからのお誘いに返事が出来ないまま、数日が過ぎたある日、また彼からメッセージが入った。
怖くてしばらく見る事が出来なかったけれど、意を決して見てみたら、それは仮靴完成の知らせだった。
夕飯に誘ってくれた件についてはなかった事のように『仮靴も一緒に行こう』というメッセージ。
さすがに今度の誘いは無視する事も出来ず『わかりました』と返信した。
そして今日。
私は以前と同じ待ち合わせ場所で増田さんを待っている。
どうしたって、私が彼の誘いに返信しなかった事実はなくならない。
その話題を出し、謝るべきか、何か言い訳を考えるべきか、ずっと迷っていた。
「お待たせー。いつも早いね」
変わらない笑顔で手を振って走ってくる増田さん。
さっきまで緊張のドキドキだったのに、今は会えて嬉しいドキドキに変わっていた。
あんなに悩んでいたくせに、顔を見ちゃうと好きが溢れてくる。
「こんにちは、増田さん」
なんとか冷静を装い挨拶すると、増田さんは微笑んでコクリと頷く。
どちらからともなく歩き出し、私たちは靴屋さんへ向かった。
「いらっしゃい、待ってたよ」
いつもの笑顔で迎えてくれたオーナーが、いそいそと仮靴を持ってきてくれる。
それはまだようやく形になった程度の物だったけれど、こんな経験がないからワクワクした。
「足を通してごらん」
そう言われて、素足をそこに差し入れてみる。
増田さんはまた足元を覗き込み「面白いね」なんて、オーナーと話していた。
……実は、今日の為に必死にボディークリームでケアした事や、さりげなく薄いピンクのネイルを塗っている事は内緒だ。
やっぱり、好きな人に会うなら、少しでも可愛く思われたい。
ホストの貴である事に、あんなウダウダ考え込んでた割に、こういう所を気遣ってる辺り、想いを止められていない証拠だ。
「ところで、どうだ？貴久、目途はつきそうか？」
「うん、あと少しって所。だいぶ、こじんまりした店舗にはなるけど……」
「最初はそれでいい。自分に見合った場所でゆっくり進めて行けば」
「そうだね」
二人の会話にキョトンとしていると、増田さんが軽く笑う。
「ずっと夢だった自分の店舗を持てるかもしれなくて」
「……店舗？」
「うん。セレクトショップ。ゆくゆくは自分がデザインした服も置けたらな、とは思ってるんだけど……」
「え……すごい」
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こもも(プロフ) - 7さん» ありがとうございます☆続編の方、今週中には更新出来ると思います！ (2018年7月25日 15時) (
レス) id: 997c86eca6 (このIDを非表示/違反報告)
7(プロフ) - 続きが見たすぎます。お願いします。 (2018年7月19日 9時) (レス) id: e2794de4c5 (このIDを非表示/違反報告)
こもも(プロフ) - めめさん» はじめまして！続きがあるのかなー？と待ってしまってました(笑)お褒めの言葉ありがとうございます。初めてのドリ小執筆でしたのでコメント励みになりました！頑張ります。 (2018年6月2日 21時) (レス) id: 53d2deb50e (このIDを非表示/違反報告)
めめ(プロフ) - はじめまして。先日は文字が切れて失礼しました。キャラ設定と丁寧な描写に惹き込まれております。更新心待ちにしております。 (2018年6月2日 1時) (レス) id: e60eb20bd1 (このIDを非表示/違反報告)
こもも(プロフ) - まあみさん» はじめまして！ありがとうございます。楽しんでもらえるように頑張りますね。 (2018年6月1日 20時) (レス) id: 53d2deb50e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こもも | 作成日時：2018年5月15日 15時
