T.M-64 ページ14
「えぇっ!?無理無理無理!!」
突然の申し出に驚き、私は思いっきり首を左右に振る。
そんな私を見て、貴くんが「ぶはっ」と吹き出した。
「ちょっとー。そこまで強く拒否されると、傷つくんですけどー」
むぅっと唇を尖らせる貴くんに、私は慌てて「ち、違うよっ」とまた首を振る。
「貴くんが嫌なんじゃなくて！恥ずかしいし！」
「なるほど。本当は一緒に入りたいけど、照れちゃうのか」
「えぇっ!?い、いや、それもちょっと違うっ……」
「何々ー？どっちなのー？」
「えっ!?だ、だから！それはっ……」
「入りたいの？入りたくないの？」
「ちょ、待っ……」
答えを迫ってくる貴くんと目が合った瞬間、私はハッと気づいた。
彼がものすごーく、悪戯っぽく笑っている事を。
またからかわれたし……!!
「ひっ、一人で入りますッ」
「ははっ！なんで怒ってんの」
「自分の胸に聞いてくださいっ！もーっ」
「ちょっとちょっと、敬語に戻ってますよ。彼女さん」
バスルームへ向かおうとした私を、貴くんが後ろからふわりと抱きしめる。
彼の逞しい腕が視界に入った瞬間、ドキドキして何も言えなくなった。
……また、こういうずるい事する。
私が嬉しくなっちゃうのを、貴くんはよく知ってるんだもん。
ホント、敵わない。
「意地悪してごめんね」
そんな台詞、耳元で甘く囁くのは反則だ。
そもそも、許すも許さないも、別に怒ってないし……。
私は無言でくるりと向き直ると、自分から貴くんにしがみつく。
正面から広い胸に飛び込むと、彼は小さく笑い、ぎゅっと抱きしめてくれた。
「……幸せ感じるわぁー」
しみじみと呟く貴くんの声。
その言葉に、私の方が幸せを感じた。
あったかい彼の体温は、私をドキドキさせるけど……同時に、落ち着かせてもくれるんだ。
すごく好きだな、って……心から思える。
「私も幸せ」
そう答えると、私を抱きしめる貴くんの手に、力がこめられた。
それは次第に強くなり、ぎゅうううううう！っと私の身体を押し潰す勢いに変わる。
思わず「く、苦しーっ」と叫ぶと、貴くんが楽しそうに声をあげて笑った。
「お楽しみは今後にとっておくから、早くシャワー浴びといで」
「えっ」
「せっかくだし、二人でゆっくりしたいから」
「う、うん……」
バスルームに案内してくれた貴くんが、笑顔で私にひらひらと手を振る。
それに手を振り返し、バスルームに足を踏み入れながら。
これから過ごす二人の時間を思い、私の頬はゆるゆると緩んでしまっていた。
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ゆうき - 大好きですうう続きを心待ちにしてます(；ω；) (2020年4月4日 20時) (
レス) id: bd07b8c8f0 (このIDを非表示/違反報告)
arupakachan128(プロフ) - 戻ってきてくれたんですね！待ってました！！ありがとうございます！もう読めないのかと思ってました涙無理せず自分のペースでいいので更新楽しみに待ってます (2019年5月6日 22時) (レス) id: e90def3f5f (このIDを非表示/違反報告)
こやりん(プロフ) - こももさん！大好きなお話だったので、パスワードがついてしまって凄く寂しくて残念だったのですが、帰って来てくださりとっても嬉しいです！ありがとうございます！！これからも、こももさんのペースでいいので楽しみにしていますね！最初から早速読み返しにいきます！ (2019年2月3日 18時) (レス) id: a77857653e (このIDを非表示/違反報告)
結璃 - こももさん！ありがとうございます(><)好きなお話なので読み返しておきますね♪お仕事と無理なさらないように頑張ってください！更新待ってまーす(^o^) (2019年1月31日 18時) (レス) id: 122fe42ca2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - こももさん、こんにちは！また読めるのが嬉しくて読む前にコメントしてしまいました！（笑）ありがとうございます（ ; ; ）こももさんのペースで、更新楽しみにしています〜〜！！ (2019年1月26日 23時) (レス) id: 9847e18255 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こもも | 作成日時：2018年6月18日 15時
