Sweet sugar

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「ただいま…」

「おかえりー」

「えっとね、バイトしたいんだけど…」

「いいんじゃない？全部中途半端はダメよ？」

「そうだね、がんばるよ」

「ところで…ケーキは…？」

母の悲しそうな声と顔のダブルパンチで

僕は「明日買ってくるから」

と言うしかできなかった。

湯船に浸かりながら今日の事を思い返す。

アップルパイ美味しかったなぁ、もちろんショートケーキも。

チーズフィリングのイチゴタルトが出たらまた食べよ…。

それにしてもあのおっさんクソだった…

地球で酸素吸わないでほしい。

できれば土に還ってほしい。

……そういえば僕あの時、咄嗟に彼女の腕…掴んだんだな…細くて折れそう…綺麗な腕…。
綺麗な手付きで注がれる紅茶…僕だけ真っ白なティーカップ…

下手すぎる連想ゲームで行きついてしまった自分だけ真っ白カップ問題。

モヤモヤが止まらない。

聞きそびれてしまった…というかそんなの聞けるタイプじゃない。

こういう時、日向なら真っ直ぐ聞けるだろうなぁと少しだけ羨ましく思った。

「…なんで僕だけ真っ白なティーカップなんデスか…？」

小さい声で練習してみる。

バスルームに少し響いた。

残響をかき消すようにシャワーを出す。

そんなの聞けるわけないだろ…

ただの嫉妬じゃん…

「かっこわる…」

ぬるい水を浴びながら感情をふき飛ばすように頭を振った。