いい加減にしろ！！５

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ライブ会場の廊下には、2人分の足音だけが響く。




『さっきの言い方、撤回で。……今回のライブ、上手く行きそう、ですかね？』

浪川｢…ああ、そういうこと｣

『お、珍しく浪川さんの勘がいい』

浪川｢うるせっ笑｣




先程の淡々とした言い方では無く、少し不安そうに言った言葉はしっかりと浪川さんに伝わったらしい。




浪川｢要するに、私の演出上手く行きますかって言いたいんだろ？｣

『やっぱ社長はさすがだなあ〜』

浪川｢バカにすんな｣

『ちょっと自信無くて…もう皆さんのオーラに任せっきりなところがあるんですよね』

浪川｢あんな発想が頭ん中あるだけで凄いって思うけどね｣

『それ褒めてます？』

浪川｢褒めてます｣




ならいいですけど、と呟きまた無言のまま廊下を2人で歩く。なんだろう、この人といると不思議と安心する。

なんかお母さんといるみたいな、いや違うか。お母さんにしてはポンコツすぎて困ってしまう。


















『みなさーん、おじいちゃんパシっちゃダメでしょ〜』

浪川｢おじいちゃん言うな｣




皆が昼食を取っている部屋に入って早々、軽く注意してから飲み物を配る。




鈴村｢お、今日はちゃんと休憩するんだな｣

『スタッフに念押されちゃって、笑』

鈴村｢そりゃあ飯も食わずに一生モニターチェックしてたら誰でも心配するわ｣

『すみません、笑』

浪川｢椎名の飲み物これね｣

『あ、私のもいいんですか？』

浪川｢当たり前だろ｣

『あざっす。何円でした？』

浪川｢いらん、社長なめんな｣

『いつもこれくらい堂々としてたらかっこいいのに』

入野｢言えてる｣

『んね』

入野｢な｣

浪川｢お前ら飲みもん返せ｣




真面目でかっこいい浪川さんも好きだけど、やっぱりへなちょこでいじられキャラの浪川さんの方が私は好きだな。




『そーだ！Trignal〜、一個変更点あります！』

代永｢それは早く言って〜！！｣



さっきのリハで伝えるのを忘れていたので、遠くでご飯を食べている3人に声をかける。てか代永さんその言い方何？可愛すぎだろ



木村｢大きいやつ？｣

『いや、ちょっと移動の仕方が変わるだけです』

木村｢了解ー｣

『あとー！』

木村｢ん？｣

『良平さん今日もかっこいいでーす！！』

木村｢アホだろアイツ｣

江口｢アホですよあいつは｣

『聞こえてますからね』




とまあ、和気あいあいとライブ作りをしている中、私の中にはまだ少しの不安があった。





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